養老孟司特別講義 手入れという思想 (新潮文庫)/新潮社- ¥594
- Amazon.co.jp
養老さんが様々なところで行った講演をかき集めた本です。
ゆえに、養老さんの本を何冊も読んでいると、大体がどこかで読んだような話になりますが、それはまあ致し方ないところです。
講演のテーマは、子育て、教育、心と体、生と死、田舎と都会など様々ですが、それらのテーマに共通する問題、あるいは根底にある大きな問題として、都市化というキーワードを挙げられています。
日本ではもともと自然をまずありのまま受け入れ、少しずつ都合のいいように”手入れ”していくことで自然との共生を図る思想であったのが、都市化、つまり、自然という不確定要素を極力排除し、”ああすればこうなる”世界、つまり人工的な世界に持っていこうという思想に変わってきた。
しかし、どれだけ都市化しようとも、自然は自然として存在し続け、人間自身もまた自然であるから、様々な問題が生じているというわけです。
そうした問題を指摘した上で、”手入れという思想”は必ず復活すると考えられているようですが、実際に、いろいろなところでそういった声が上がり、議論がなされ、行動に移されているのを目にしたり耳にしたりしますし、こうした揺り戻しの動きというのは必ず出てくるもんじゃないかと思います。特に日本においては。