仏果を得ず (双葉文庫)/双葉社- ¥648
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大阪の本屋と問屋が選んだほんまに読んでほしい本2014年度選定作。
2013年は、高田郁さんの「銀二貫」、江戸時代の大阪を舞台にした時代小説でしたが、今回は江戸時代の大阪で誕生、発展した文楽を、伝統芸能として守り続ける人々を描いた三浦しをんさん作の現代小説です。
2012年本屋大賞受賞作の「舟を編む」と同じように、ホームドラマ風の軽いタッチで登場人物たちの日常や恋愛を描きながら、特殊な仕事に真剣に向き合う生き方が垣間見えるという作品なんですが、文楽の描写力が半端なく、大夫の息遣いや三味線のバチさばきが聞こえてくるかのようでぐっと引き込まれます。
とても作品のためだけに取材したというようなレベルではない造詣の深さを感じながら読んでいたのですが、どうやら、三浦しをんさんは、たびたび大阪まで文楽鑑賞に訪れるほど、本当に文楽が好きとのこと。
私は、文楽を観たのは、小学校だったか中学校だったかで、国立文楽劇場で文楽入門のようなものを観た一度きり。
その時は非常に面白く観た記憶がありますが、子供なんで、普通はそれっきりになりますよね。
今なら、きっと面白く観れると思うんですが、観に行かないのは、大人になってからのきっかけがないから、娯楽としての選択の俎上に上がらないということかと。
そういう意味では、この作品も文楽鑑賞に出掛けるきっかけになりうるものかもしれませんね。