
松山城を観た後は、路面電車に乗って道後温泉へ。
観光列車である「坊ちゃん列車」も走っていますが...

タイミングが合わず、こちらのタイプに乗車しました。
しかし、これはこれで味があります。

ガタゴト揺られながら、およそ15分くらいで道後温泉駅に到着。
レトロな駅舎です。

駅前には「坊ちゃん列車」が次の出番に向けて待機していました。
夏目漱石の小説「坊ちゃん」の中に登場することからそういう愛称で呼ばれているそうですが、現在走っているのは当時のSLと客車を復元した列車(動力はディーゼル)です。

坊ちゃんが”マッチ箱のような汽車”と表現しているように小型でかわいらしい車体です。

駅前の放生園には足湯と「坊ちゃんからくり時計」があります。
毎時0分が近づくと周りに人だかりができ...

0分になると、ゆっくりと時計の各部が動き出し、坊ちゃんの登場人物たちと、底の部分には道後温泉に浸かる人々が現れます。

道後温泉駅からお土産物店や飲食店が軒を連ねる道後ハイカラ通りを抜けると、道後温泉本館ですが、その前にちょっと昼食。
愛媛には東予・中予の炊き込みごはんタイプと南予のお刺身丼タイプの鯛めしがあるそうですが、お刺身丼タイプの宇和島風鯛めしをいただきました。
美味しいんですが、出汁に卵が入った鯛だけの海鮮丼といった感じで想像の範囲内のお味でした。
宇和島”風”とありましたが、宇和島に行くとまた違うのでしょうか。

さて、道後温泉本館です。

1894年に建てられた歴史のある建物は、和風建築ながら、屋上にある振鷺閣の窓には赤いギヤマンがはめられており、西洋文化を盛んに吸収していった明治期という時代を感じさせます。

道後温泉本館の入浴システムは少々複雑で、まずは4つのプランから1つを選択するのですが、私は「神の湯二階席」(840円)を選択しました。
入口で入浴券を買い、中に入って履物を下駄箱に入れ、改札に行くと、二階の大広間に行くよう指示されます。

大広間には座布団と籠が整然と並べられており、係りの人が空いている場所に案内してくれます。
そして、貸し浴衣を持ってきてくれて、入浴方法などを丁寧に説明してくれます。
タオルはついておらず、持参していない場合は、別料金を払って貸りるか買うかになりますが、初めての訪問であれば、赤タオルとみかん石鹸がセットになった記念タオル(220円)を購入するのが、記念にもなっていいと思います。
あとは、身支度をして温泉に向かうだけというところで、振鷺閣から正午の刻太鼓の音が...
”ドーン、ドーン!”と、明治時代にタイムスリップしたかのようなよい音です。
期せずして温泉情緒をさらに盛り上げていただいたところで、浴衣とタオルを持って階段を降り、浴場に向かいます。

温泉に浸かったら、浴衣に着替えて、再び大広間へ。
すると、係りの人がお茶とお菓子(おせんべい)を持ってきてくれます。
輪島塗りの天目台に地元の砥部焼の湯呑茶碗というのが何とも風情があります。
お茶とおせんべいをいただきながら、湯で温もった身体を冷ましたら、再び脱衣所に行って着替えて、大広間に浴衣を戻して入浴終了。

入浴のあいまには、夏目漱石がよく利用したといわれる、3階にある「坊ちゃんの間」を見学することもできます。
この「神の湯二階席」というプランは、最もオーソドックスに道後温泉の楽しさを味わえるおススメのプランかと思います。

この日は夜にも道後温泉を訪れましたが、夜の道後温泉は、浴衣姿で籠をぶら下げた湯巡りの人たちで賑わい、また一層情緒があります。
しかし、当然、温泉の方も混雑するので、同じ湯を引いているという、もう一つの公衆浴場「椿の湯」に入りました。
こちらは地元客の利用が大半のようです。
椿の湯の湯釜には
十年の汗を道後の温泉に洗へ 子規
という正岡子規の句が刻まれていましたが、湯に浸かっているとまさにそんな気分になります。

風呂上がりにはテイクアウトの漱石ビール(道後ビール スタウト)にじゃこカツで一息。
漱石ビールは香ばしさと深みのある味がいいですね。
じゃこカツは初めて食べたんですが、ハマりました。
コロッケとじゃこカツが並べて売られていたら、100%じゃこカツを買いますね。
帰りの道後温泉駅前では、「また来てくださいね。」と言わんばかりに、ライトアップされた、からくり時計が動いていました。