里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)/KADOKAWA / 角川書店- ¥価格不明
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これも成長から成熟へという転換の一つの形を示したものかと思います。
前半では、木質バイオマス発電、エコストーブ、CLTによる木造高層建築など、里山に豊富にある木材を資源として活用する取り組みや、その最先端を行くオーストリアの事例などを取り上げ、石油やガスなどの輸入エネルギーに頼らない経済システムの可能性について紹介しています。
後半ではIターンやUターンの人々のアイディアや、耕作放棄地の活用によって、新たな価値を掘り起こし、地域に利益をもたらすビジネスを生み出した事例や、富の循環システムや手間返しの発想のよって高齢者やお母さんや子供たちが輝ける地域社会を目指す取り組みなど、競争、成長を是としたグローバル経済の呪縛から解き放たれ、地に足を付けて安心して暮らせる地域社会のあり方について紹介しています。
もちろん、日本中すべての地域と人々がこのように転換することは不可能ですし、そんなことを提言しているわけではありません。
あくまでも従来型の経済のサブシステム、バックアップシステムとしての提言です。
有無を言わさず、グローバル経済の波の中に引きずり込まれ、競争にさらされ、最も疲弊してきたのは地方経済ですが、そんな地方にこそ、これからの日本をより豊かで安心できる社会にしていくポテンシャルが秘められているというわけです。
しかも、知恵と熱意さえあれば、今あるものを活用して実現できるというのがいいですね。
明るい希望の見える一冊です。