タックス・ヘイブン――逃げていく税金 (岩波新書)/岩波書店- ¥798
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高額所得者や企業による脱税・租税回避、犯罪によって得られた収益のマネーロンダリング、テロ資金の移動や隠匿、巨額投機マネーによる世界経済の破壊...
こうした行為の舞台として必ずと言っていいほど登場するのがタックス・ヘイブンと呼ばれる国や地域。
まともな税制がなく、金融に関する法規制も甘く、そのくせ固い秘密保持法制を持つ、徴税される側としては誠に都合がよく、徴税する側としてはとても厄介な存在であるタックス・ヘイブン。
それがどういうものなのか、どのように利用されているのか、それに対する対抗策は...といったことを一般向けに解説した一冊です。
その仕組みはとても複雑で、読んでもよくわからないところも多いのですが、お金を持っている人というのは悪知恵が働くというか、そういうことに労力やコストをかけてもそれに見合うだけのメリットが得られるからこそそうした行為に及ぶということなんでしょうね。
しかし、税負担の公平さを覆すだけにとどまらず、そうした行為によってもたらされる様々な害悪によって、市民の生活が脅かされているという事実には腹が立つというか、やるせなさを感じます。
タックス・ヘイブンを規制することも重要ではあると思いますが、何かこう、持てる者がもっと税を納めたくなるような、税を納めることに誇りを持てるような国なり制度なりというものは作れないものでしょうかね。