親鸞 激動篇(上) (講談社文庫)/講談社- ¥590
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三部構成の親鸞の第二部。
越後に流されてから、罪を赦されてのち念仏を広めるために移り住んだ東国での日々までが、第一部と同様、エンターテイメント性も盛り込みつつ、物語としてとても面白く描かれています。
法然から別れ際に託された言葉を胸に、都から遠く離れた地で、念仏の道を極め、広めようとする壮年期の親鸞。
しかし、そこには念仏とは何かを問い続ける聖としての親鸞よりもむしろ、様々な人々と出会い、数々の苦難に直面する中で、ふと念仏者である前に人としてどうなのかというところに立ち戻り、葛藤する俗としての親鸞が強く出ているように思います。
主人公であるかそうでないかという違いがあるとはいえ、そのあたりが第一部で登場した法然の描き方とは対照的で、この辺から五木さんの描こうとしている親鸞像というものがだいぶ見えてきたような気がします。
第三部が楽しみです。
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