空飛ぶタイヤ | Archive Redo Blog

Archive Redo Blog

DBエンジニアのあれこれ備忘録


空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)/講談社
¥680
Amazon.co.jp

大ヒットドラマ「半沢直樹」の原作の作者、池井戸潤さんの作品です。

走行中のトレーラーのタイヤが外れて歩行者の母子を死傷させる事故を起こした運送会社の社長が、”整備不良”という調査報告に納得できず、真相究明のために自動車メーカーに闘いを挑む姿を描いた小説です。

何度も追い詰められながらも、諦めず、もがき、苦しみ、なんとか活路が見いだせたかと思いきや、あっけなく潰され...

ジェットコースターのような展開にハラハラ、ドキドキし、主人公らが切る啖呵にスカッとし、魂の腐った連中がやり込められる様に溜飲を下げるというところは「半沢」同様ですが、「半沢」が、一般市民としては縁遠い銀行内部の話であったのに対し、こちらは巨大企業 vs 中小企業という構図であるため、より身近で感情移入しやすいような気がします。

ただ、こうした演出の面白さはこの作品の大きな魅力ではありますが、それは、運送会社、自動車メーカー、取引先、銀行、警察、被害者、家族、はたまたPTAに至るまで、組織の論理・力学と個人の思惑が複雑に作用し、せめぎ合う様を見事に描き切っているからこそ引き立つものであって、この作品の真に優れたところはそこにあるのではないかなと思います。


空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)/講談社
¥680
Amazon.co.jp