三千枚の金貨(上) (光文社文庫)/光文社- ¥650
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昔、何冊か読んだきりだった宮本輝さんの小説を久々に読んでみました。
この小説は、入院中の深夜の談話室に偶然居合わせた末期がんの患者から、和歌山の山にある桜の木の下に三千枚のメープルリーフ金貨を埋めたという話を聞き、さらに「みつけたら、あんたにあげるよ」と言われた不思議な記憶を幾度となく思い出し、意を決して会社の同僚二人と、その末期がんの患者の謎に拘わる元看護師の女性とともに、金貨探しに乗り出した四十代の男を主人公としたお話です。
金貨探しの過程よりも、この末期がんで死んだ男の数奇な人生や、金貨探しをはじめた4人やその周辺の人間模様などの話が多く、宝探しのワクワク、ドキドキを味わいたいという思いを巧みにいなされ、はぐらかされ、いつの間にか金貨探しとは関係のない登場人物たちの人生劇場にどっぷりと引きずり込まれているという感じでした。
それはそれで、”らしい”展開だし、実際問題、人生ってそんなペースだし、それだけ雑多ですよね。
ただ、ゴルフの話がくどすぎるのだけが辛いです。
三千枚の金貨(下) (光文社文庫)/光文社- ¥650
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