魔性の子 十二国記 (新潮文庫)/新潮社- ¥704
- Amazon.co.jp
この作品は、その序章、エピソード0と言われているようですが、物語の時系列的には序章ではありません。
読者を十二国記の世界に誘うための序章という位置づけの作品です。
この作品は本編の作品群とは異なり、こちら(日本)の世界を舞台とし、神隠しにあって1年余りのちに突然舞い戻って来た少年とその周辺で巻き起こる奇怪な事件を描いています。
少年の周囲に何か闇のようなものが存在していることを臭わせながら、神隠しにあっていた間のことについてはあえて具体的には触れない。
そうすることによって、あちら(十二国記)の世界のことをまだ知らない読者にとっては、ただひたすら暗くおぞましい戦慄のホラーであり、同時に何やら得体のしれない世界の存在を想起させるファンタジーでもありえるストーリーに仕立てあげられています。
これを読まなくとも本編のストーリーの理解には全く支障はありませんが、これを読んでから本編に進むのと読まずに進むのとでは、随分印象が異なるのではないかと思います。
それはともかく、読むなら最初に読むべき。
(私のように)本編の作品群をあらかた読んでしまった後にこれを読むと、ひどく退屈に思えます。