
雨にたたられ、暇をもてあまし気味の週末。
雨でも楽しめるところはないかと見つけたのが、兵庫県立美術館 で開催されている「カミーユ・ピサロと印象派 」という展覧会。
印象派というと、モネやルノワールを思い浮かべますが、そういった個性豊かな印象派の面々をまとめ、8回開かれた印象派展のすべてに出品した唯一の画家であるピサロは、印象派の中の長老的存在であり、真の印象派とも言うべき人物だそうです。
ある批評家が彼を「もっとも真実味にあふれて正直である」と評したように、彼の描くありふれた身近な風景には、大胆さや派手さといった要素はあまり感じられませんが、静謐さの中に、自然のありのままの空気感が滲み出ているような印象を受けます。
バルビゾン派を代表する画家、コローの風景画の影響を強く受けていた初期の作品から、印象派を特徴づけるような表現が加わっていく様。
様々なタッチを使い分けながら印象主義の表現を探求していく様。
新印象主義の手法である点描をも積極的に取り入れながら、再び印象主義へと回帰していく様。
モネ、ルノワール、セザンヌ、シスレーなど、同時代を生きた画家たちの作品との対比。
ピサロという印象派を代表する画家の生涯にわたる作品を軸に、彼を取り巻く画家たちの作品をも紹介する今回の展覧会の構成は、個々の作品の魅力だけではなく、印象主義の発生、発展、印象派の系譜といったものを学ぶ上でも非常に意義深いものです。
それにしても、休日にもかかわらず、人が非常に少なかったのが少々意外でした。
モネやルノワールともなると、押し合いへしあいしながら見なければならないのが常ですが、ピサロの場合はそれほど知名度が高くないということなんでしょうか。
しかし、そのおかげで、間近で細かいタッチなどを見た後、数歩引いて遠目に全体を俯瞰してみたりと、存分に味わうことができました。
絵画はやはり、こうしてゆったりじっくり味わいたいものですね。