親鸞(上) (講談社文庫)/五木 寛之- ¥590
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浄土真宗の宗祖、親鸞を描いた本作。
本屋で著者とタイトルに惹かれてペラペラとページをめくってみて、上下2巻なら手軽に読めそうだと買ってみたのですが、この上下巻は親鸞の幼少期から越後に流されるまでの話なんですね。
今、その続きが”激動編”として単行本で出ているようです。
一気に読みたいのになぁ...
というのも、想像していたよりも読み物としておもしろかったからなんです。
生真面目に取り組めば、仏教とは何ぞや、人々はどうすれば救われるのか、と小難しい話に終始しそうなところですが、そういった史実や伝承に基づいた親鸞の人生や思想の変遷を押さえつつも、個性的な登場人物やエピソードを加えて、読者を疲れさせず飽きさせない冒険活劇のようなストーリーに仕上げるバランス感覚はさすがです。
先日読んだ「生ききる。」という本の中で、瀬戸内寂聴さんが本作の著者五木寛之さんについて、「あれだけお勉強しているんだから、出家したらいいのにって思うの。」なんておっしゃっていました。
なるほど、確かに仏教界から見ればそう思うのが率直なところかもしれませんが、仏門に身を置く人の著作となると、それを読む我々は多少なりとも説法を聞くように身構えてしまいます。
聖でもなく俗でもないからこそ、親しみやすくすんなりと入っていける...
こうした立ち位置から仏教というものを広く人々に伝えていくことにも、大きな意味があるような気がします。
親鸞(下) (講談社文庫)/五木 寛之- ¥590
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