
冬の京都で2つの展覧会を観てきました。
一つは京都文化博物館で開催されている「ホノルル美術館所蔵「北斎展」 」。
以前、北斎ゆかりの地、信州小布施の「北斎館 」や「岩松院 」で肉筆画を観てすっかり魅了されてしまった北斎。
今回はホノルル美術館所蔵の北斎コレクションということで、版画が中心でしたが、「富嶽三十六景」などの揃い物を数多く観ることができました。
「富嶽三十六景」は、間近で見ると、ベロ藍と呼ばれる顔料(プルシアン・ブルー)による青色がなお一層印象的ですね。
そしてなんといっても構図が非常に面白い。観ているのは絵なのに、「あ、こういう構図いいなぁ。」と写真を撮るインスピレーションが沸いてきます。
その他の揃い物では百人一首に詠まれた歌のイメージを描いた「百人一首うはかゑとき」なども興味深い作品でした。
この北斎展、前期と後期があり、全作品が完全に入れ替わるそうです。
後期にもう一度観に行くかどうか、非常に悩ましいところです。
そしてもう一つは美術館「えき」KYOTOで開催されている「イジス写真展 」。
イジスは、リトアニアに生まれ、パリで活躍した写真家で、ロベール・ドアノーなどと同時期に活躍したそうです。
以前、ロベール・ドアノーの写真展は観たことがあるのですが、同じ時代のパリの人々を撮りながらも、作風が随分違いますね。
ドアノーの場合はユーモアを交えながら人々の生き生きとした姿を捉え、写真からダイレクトに訴えかけてくる印象があるのに対して、イジスは眠っている人であったり、どこかを向いて佇む人であったり、何かこう人々と周りの風景からじわじわと滲み出てくるような、いや、むしろ観る側のイマジネーションを引き出すというか、そういった印象があります。
京都ではちょうど同時期に、何必館で「ROBERT DOISNEAU展 」を開催しているようですので、どちらも観たことがないという人なら、両方をはしごしてみるのも面白いかもしれません。
しかし、こうしていろいろな写真家の作品を観ると、構図とか光の活かし方とか、そして何より写真に何を語らせるかということについて、いい刺激を受けますね。
(全く活かせていないというのが残念なところですが...)