日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか (PHP新書)/竹田 恒泰- ¥756
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何かと自信を喪失し、自国を愛せない日本人に、海外から見ると日本はこんなに人気があるんですよというエピソードを紹介して、勇気や誇りを取り戻そうといった趣旨の本...
かと思いきや、実はそうでもないというか、それだけでもないんですね。
客観的に見た日本の伝統文化・日本人の精神性などの素晴らしさを紹介しながら、一方でそうしたものが失われつつある日本の現状を危惧し、それらを見直し、取り戻すことの重要性を説く。
それがこの本の真の狙いであるようです。
特に二千年以上の長きにわたって1つの王朝として存続し、日本文化の根底にあった天皇の存在と、そこからもたらされる価値に重きを置かれているようです。
時の政権の正統性を示すために編纂されたとも言われる「古事記」や「日本書紀」を若干持ち上げ過ぎで、ともすれば盲目的に天皇を崇拝しておられるのかなという印象も受けられるかもしれません。
しかし、適度に美化・神格化されたそれらの伝承は、天皇という存在とともに、日本人の精神のありようを示す標として集団的無意識のうちに受け継がれてきたわけで、その事実は史実としての信憑性よりもむしろ意味のあることなのかもしれません。
このように底流にあるテーマは実に大きなものなのですが、この本は個々のトピックが短く簡潔にまとめられており、気楽に読める体裁となっています。
読者がそれぞれに何かに気づき、何か行動を起こしたり、さらに深く掘り下げてみようと思ったり、そんなきっかけを与えてくれる一冊かと思います。