なぜ、脳は神を創ったのか? (フォレスト2545新書)/苫米地英人- ¥945
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脳機能学者 苫米地英人氏が、
人はなぜ神を必要とし、創ったのか?
宗教は政治とどのように関わり、社会の秩序にどういう影響を及ぼしてきたのか?
そもそも神は存在するのか?
という話を経て、神が正式に死んだ21世紀を生きる私たちが、何を依りどころにして生きていけばいいのかを説いた本です。
最近、高度成長期が終わり、成熟期に入った日本の進むべき道を示した本をいくつか読みましたが、これはその宗教版とでも言ったらいいでしょうか。
著者の考える神なき時代の生き方とは、政治や宗教から自由になり、あらゆる煩悩から離れ、自分自身の抽象度をどんどん高めていくことに目標を置くことです。
キーとなるのは、釈迦の唱えた「空」という概念です。
(釈迦本来の思想からかけ離れってしまった仏教の教えではなく、あくまでも釈迦の教えです。)
完全な存在である神を全否定する「空」という概念を唱えた釈迦の教えは、宗教的には非常に弱かったが、思想的には非常に強いと。
宗教史のみならず、哲学、数学、物理学まで持ち出してきて、何か煙に巻かれた感も残りますが、確かに言いたいことは分かります。
この「悟りを開け!」に近い生き方を実践するのは、現実社会を生きる人間にはなかなか難しいことですが、こういう考え方を意識の片隅に置いておけば、いくらかでも、あるがままを受け入れ、妙な幻想に依ることなく、豊かな人生を送ることができるような気はします。