サッカー日本代表システム進化論 (学研新書)/西部 謙司- ¥777
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1984年森監督の時代から現岡田監督の時代まで、日本代表のシステムと戦術の変遷を振り返った本です。
私がサッカーを見だしたのは日本代表はオフト監督の頃ですが、それ以前の日本代表はとんでもなく弱かったんですね。
それがオフト監督の時代に飛躍的に進化し、ようやくアジアと互角に戦えるレベルとなり、その後アジアのトップレベルにまで登り詰めたということなんですが、著者は、その過程で一定のレベルアップは果たしてきているものの、今に至るまで日本のスタイル、ベースとなるものが確立されていないことに問題意識を持っているようです。
「日本のサッカーを日本化したい」と言ったオシム監督は、豊富な運動量で相手にプレッシャーをかけ、相手のプレッシャーをかわし、中盤のパスワークを生かす戦術を日本のスタイルとして築き上げ、岡田監督もそのスタイルをさらに先鋭化させる形で概ね継承していますが、それでもまだ十分でない。
そもそもワールドカップでベスト4を目指そうというチームが運動量を武器に勝負するチームというのは無理がある。
本気で世界の上位を目指すのであれば、こじんまりとした日本のスタイルの枠を超えたものを追い求める必要があると...
ただ、ワールドカップを目前に控えている今、この本を読むとどうしても現日本代表のことに注目してしまいますが、実際にこの本で現日本代表に割かれているページ数はごくわずかです。
それよりもやはり、過去25年間の日本代表のシステムと戦術の変遷を振り返るというところがこの本の主題であり、ここに書かれているすべての世代をリアルタイムで目撃していない世代にとっては非常に興味深いところだと思います。