世界を知る力 (PHP新書)/寺島 実郎- ¥756
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戦後、多くの日本人はアメリカというフィルタを通してしか世界を見てこなかった。また、そのためにそれ以前の歴史時間を忘却し、隔絶してきた。
しかし、世界は超大国が支配した冷戦時代の崩壊から20年を経て、分散型ネットワーク社会へと変わりつつある。そこには国家・イデオロギー間のパワーバランスという意味だけではなく、IT革命やグリーンニューディール政策がもたらす技術・文明のパラダイムシフトという意味も含まれる。
このような分散型ネットワーク社会に対応するために、今必要な「世界を知る力」は、歴史時間の流れを自覚することで得られる時空を超えた視界、そして断片的な情報から相関という知を見出す力である。
というような内容の話を、具体的な事例を挙げながら唱えている本です。
どのようなことに対してもこのような視座を持つことは大切なことだとは思いますが、確かに世界を見る場合にはアメリカというフィルタを通してしまっていたような気がします。
政治、メディアなどによってかけられたバイアスによって無意識のうちにそうなってしまっているのかもしれませんが、まぁ、日本人の持って生まれた習性によるところも大きいかもしれませんね。
この本の中で著者は、自らの経験を踏まえて、「世界を知る力」を養うには”鳥の眼”と”虫の眼”が必要であること、また、その”知”を単なる教養の道具に終わらせないためには、問題解決に向けての強い意志が必要であることをとりわけ強調しています。
非常に平易な文章とわかりやすい構成でさらりと読めてしまう本です。
これから世界に羽ばたいていこうという若い世代にお勧めなのではないでしょうか。