漢字―生い立ちとその背景 (岩波新書)/白川 静- ¥777
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漢字研究の第一人者、白川静さんの著書です。
漢字は象形文字と言われていますが、象形文字として表すことができるものは形あるものに限られます。
故に漢字の中に占める象形文字の割合はごく僅かであり、ほとんどの文字は仮借して作られたものなんだそうです。
そして、それらの文字の中には起源的な意味を失っているものも多いと言います。
漢字の起源的な意味を知るには、その成立当時の形を残す甲骨文(亀の甲羅や牛の骨に書かれた文字)や金文(青銅器の表面に刻まれた文字)を調べ、それを体系として整理していく必要があります。
そして、その解釈は当時の習俗や思想といったものに基づくものになります。
この本では、殷・周時代の甲骨文や金文に記された古代の漢字の生い立ちとその時代背景について語られているわけですが、当時のシャーマニズム、アニミズム的観念、祭祀、儀礼、道徳観、死生観などに基づくその解釈が、現在その文字が表す意味とは全くかけ離れたものであったりして、驚かされます。
あまりにも古い時代のことで、実証が難しく常に異論・反論がつきまとうテーマではありますが、非常に面白い本です。
ただ、字や言葉が難しく、非常に読みにくい本でもあります。
読者にかなりの知力と気力を要求します。
白川静さんの著作への入り口としては他の本の方がいいかもしれません^^;