日本社会は戦後の高度成長の中で一億総中流社会を目指していました。
しかし、それも既に過去の話。
最近、勝ち組、負け組とか格差社会などという言葉が盛んに叫ばれているように、バブルが崩壊した後の長期にわたる経済の低迷により、所得の二極化が進んでいます。
そんな中、今や日本人の8割が”ロウアーミドル”つまりは”中の下”以下になっているようです。
しかし、日本社会においてロウアーミドルに分類される世帯であっても、世界基準で見れば十分に中流以上である。にもかかわらず豊かさが実感できないのは、いまだに総中流社会の価値観に基づいたライフスタイルを追い求めていることや日本社会の高コスト構造にあると著者は言います。
というように現状を分析した上で、所得格差が拡大する社会の中で台頭しつつあるロウアーミドルクラスでも豊かでゆとりある生活を送れるよう、企業、個人、政府が取るべき対策について様々な提言を行っているのが本書です。
やや偏った見方かな(?)と思われるような考え方も見受けられますが、実現性はともかく多くはなるほどと思える内容。
特に税制のあり方や道州制に関する提言は面白いです。
道州制に関しては、つい先日政府の地方制度調査会が「道州制の導入が適当」と小泉首相に答申するなどにわかに話題になりつつありますが、まだまだ国民全体の関心事として認知されるには至っていないのが現状です。
国会はくだらないガセネタで足の引っ張り合いをしている場合ではないし、メディアもまたくだらないワイドショーネタを熱心に報道している場合ではありません。
行政コストを大幅に削減できる可能性を秘めた改革なのだから、もっと議論を深めて盛り上げていってほしいものです。