建築家との家創りって?
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【フリーランスの家】土地と建物の予算バランスはこう考える

 

 

家づくりを考え始めると、最初にぶつかるのが「土地と建物、どちらにどれくらい予算を配分すべきか?」という問題です。
土地にこだわれば建物が妥協になるし、建物に理想を詰めすぎると土地が選べなくなる。
この“せめぎ合い”で悩む方は非常に多いのです。

 

特にフリーランスの方の場合、予算の上限が明確に見えにくいため、なおさらバランスが難しい。


ここでは、後悔しないための「土地と建物の予算配分」の考え方をお伝えします。


1. 最初に“総予算”を確定させる

まず大切なのは、「土地と建物を別々に考えない」こと。
家づくり全体にかけられる**総予算(ローン+自己資金)**を最初に決めるのが基本です。

たとえば総予算が5,000万円の場合、

  • 土地:2,000万円

  • 建物:2,800万円

  • 諸費用(登記・外構・引越など):200万円

といった配分が目安になります。

 

この「諸費用を含めた総額」で考えないと、後から
「外構ができない」「家具まで手が回らない」
といったズレが発生します。


2. 土地に“すべて”を求めない

土地探しでは、「日当たり」「駅距離」「広さ」「学区」など、条件を並べたくなります。
しかし、条件を全部満たそうとすると、土地だけで予算の半分以上を使ってしまうことも。

土地にこだわりすぎると、建物の自由度が下がり、理想の間取りや素材を諦めることになります。


「土地7:建物3」のような極端な配分は避け、「土地4:建物6」程度を目安にすると、建築の質を担保しやすくなります。


3. 建物の“調整力”を過信しない

「建物は設計でどうにでもなる」と思われがちですが、実際には限界があります。
土地に無理があると、

  • 擁壁や造成で追加費用がかかる

  • 形状が特殊で建築コストが増す

  • 高低差で基礎や給排水の工事費が上がる

といった見えないコストが発生します。

一見安い土地でも、造成費で数百万円の差が出ることもあるため、
「土地価格+工事コスト=実質の土地費用」として考えることが大切です。


4. “土地と建築を同時に見る”という発想

土地を探してから建築会社に行く、という順番が一般的ですが、
実はこれがバランスを崩す最大の原因です。

 

土地と建物は切り離せない関係。
建築家と一緒に土地を見てから購入判断をすることで、
「建てられる家のボリューム」「造成費」「日当たり」「眺望」など、
実際の暮らしを前提に判断できます。

 

この段階でFPや税理士が関われば、
「住宅ローンに組める範囲」「自己資金の最適配分」も同時に整理でき、
資金面でも無理のないバランス設計が可能です。


まとめ:土地も建物も、“暮らしの舞台”という視点で

土地と建物を分けて考えると、どちらかに偏り、結果的に満足度が下がります。
大切なのは「土地に住む」のではなく、「暮らしを建てる」という視点。

我々は、建築家・独立系FP・税理士がチームで、
土地探し・建築・資金計画をワンストップで支援します。

 

「土地を探す前に、まずチームを組む」


それが、理想と現実のバランスを両立させる最短ルートです。


フリーランスだからこそ、家づくりには“戦略”が必要です。

「年収はあるのに、なぜか借りられない…」
「節税しているのに、住宅ローンで損をしているかも…」

そんな疑問を感じた方へ。

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数字を“整える”ことから、理想の住まいづくりが始まります。

【車椅子と暮らす】家族みんなが快適に暮らせる間取りの工夫

家づくりを考えるとき、多くの人が「誰が主役か」を決めてしまいがちです。


子ども中心、あるいは介助が必要な家族中心――もちろん、それも大切です。
けれど本当に暮らしやすい家は、家族全員が快適に過ごせる間取りであること。


一人のための家ではなく、みんなのための家をどうつくるかが鍵になります。


1. 「動線を分けずに整える」という発想

家族がそれぞれの動線を奪い合うような間取りでは、ストレスが生まれます。


例えば、車椅子を使う家族が廊下で向きを変えるとき、他の家族が通れなくなる――そんな状況は避けたいものです。

 

大切なのは、動線を分けるのではなく、整えるという考え方。
家族全員の動きを一枚の地図に描き、交わりすぎないよう配置する。


玄関からリビング、トイレ、寝室まで、すれ違える幅と見通しを確保すれば、自然とストレスのない空間になります。


2. 「居場所」を分けて、「気配」をつなぐ

家族が快適に暮らすためには、それぞれが落ち着ける“居場所”が必要です。
しかし、壁で仕切って孤立させてしまうと、家の中に距離が生まれます。

 

リビングの一角に小さなワークスペースを設けたり、寝室の近くに読書コーナーをつくったり。
完全に隔てるのではなく、「視線が届く距離」で“気配を感じ合える間取り”にすることで、安心感と自立の両方が得られます。

 

特に車椅子を使う家族にとっては、「呼べば届く」「声が届く」距離が心のゆとりを生みます。


3. 家族の“共有動線”と“専用動線”を意識する

キッチンや洗面所など、家族が重なりやすい場所では共有動線を広めにとる。


一方で、寝室やトイレなどのプライベートな空間は専用動線を短くまとめる。
このメリハリがあると、移動がスムーズになり、生活リズムの違いにも柔軟に対応できます。

 

たとえば、夜中のトイレ動線を短くすると、介助の負担も大幅に減ります。
朝の支度時間に動線が重ならないよう工夫するだけでも、家族の朝が少し穏やかになります。


4. 家具配置も「間取りの一部」として考える

間取りは壁と扉だけではありません。
家具の置き方ひとつで、動線は大きく変わります。


設計段階から家具の配置を想定し、通路幅や回転スペースを確保することが、日常の使いやすさを決定づける要素です。

 

また、収納を壁面に組み込むことで床面を広く保ち、家族が集まる空間にゆとりを持たせることもポイントです。


5. 将来の変化に“余白”を残す

お子さんの成長、親の介助、働き方の変化。
暮らしは常に動いていきます。


その変化に対応できるよう、間取りに余白を持たせることが大切です。
可動式の仕切りや引き戸を採用すれば、部屋を分けたり一体化したりと柔軟に使えます。

 

「今の暮らし」と「これからの暮らし」を、どちらも支える間取り――
それが、家族みんなが快適に暮らせる家の条件です。


まとめ

家族全員が快適に暮らせる間取りとは、広さや豪華さではなく、思いやりの設計から生まれます。


動線を整え、居場所をつくり、将来への余白を残す。
それぞれの距離を保ちながら、やさしくつながる家。


それが、ナイトウタカシ建築設計事務所が考える“家族のための間取り設計”です。


家づくりは、誰かを“支える”だけでなく、家族みんなが“心地よく生きる”ためのもの。
私たちは、車椅子を使う方も、その家族も安心して暮らせる「家族のための家づくり」を行っています。

▶ 詳しくは【車椅子と暮らす家】公式ページ

自然と共に生きる『Artek(アルテック)』アルヴァ・アアルトが家具に込めたフィンランドの精神

 

自然と共にあるデザイン ― Artekという思想

北欧の家具ブランドの中でも、**Artek(アルテック)**は特別な存在です。


1935年、建築家アルヴァ・アアルトとその妻アイノ、芸術家マイレ・グリクセンらによって設立されました。
ブランド名の“Artek”は「Art(芸術)」と「Technology(技術)」を掛け合わせた造語。


アアルトはそこに、人と自然、工芸と産業を結びつける新しい時代のデザインを見出していました。


木の温もりが生む、優しい構造

Artekの家具の多くは、アアルトが生み出した「L-leg(Lレッグ)」と呼ばれる独自の構造技術によって作られています。


木材を曲げることで、金属を使わずに強度と美しさを両立する。
代表作である 「スツール60」 は、その技術を象徴する作品です。

一見シンプルな三本脚のスツールですが、そこには素材の力を信じ、木のしなやかさを最大限に引き出す思想が宿っています。


そして、この椅子は世界中の家庭や学校、公共施設で使われ続け、“暮らしの定番”として愛される存在になりました。


フィンランドの精神が宿るデザイン

アアルトのデザインの根底にあるのは、フィンランドの自然と人との距離感です。


彼は「建築も家具も、自然と人の間にある橋であるべきだ」と語りました。
その言葉通り、Artekの家具は自然素材を尊重し、人工的な冷たさを感じさせません。

光を受けたときの木の表情、時間とともに深まる色合い。
それらすべてが「自然と共に生きる」ことを感じさせてくれます。


Artekの家具は単なるインテリアではなく、自然と人の調和を暮らしの中で体現する道具なのです。


日常に静けさをもたらす存在

私自身、住宅設計の中でArtekの家具を取り入れると、空間の空気が柔らかくなるのを感じます。


デザインが主張しすぎず、木の質感が光と影をやさしく受け止める。
北欧の家のように、静けさの中に温もりを感じる時間が生まれるのです。

 

それはまるで、家具が空間を整える“呼吸”のよう。
そこに座る人の姿勢や心の状態まで、自然と穏やかにしてくれます。


結び:自然と生きるという贅沢

Artekの家具は、流行のデザインとは無縁です。


それは、100年経っても変わらない「自然と共に生きる」という理念が根底にあるから。


アアルトが目指したのは、豪華さでも、派手さでもなく、人の心と自然がつながる美しさでした。

スツール60やテーブル、照明ひとつを通して、私たちはその精神に触れることができます。


それは「飾る」ではなく、「共に生きる」という感覚。


Artekの家具を迎えることは、日常の中に小さな森をつくるようなものなのです。

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