カラーブックスの「スポーツカー66~70」 | MODELと日々の徒然と

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 今回はカラーブックスネタから
 「スポーツ・カー`66〜70」(いのうえ・こーいち著)をば。

 カラーブックスで自動車ネタというのは何冊か出ていますが、純粋にスポーツカーを題材に選んでいるのは本書だけではないかと思います。
 それも出版当時の現役車ではなく1960年代のいわゆる「ヴィンテージスポーツカー」に的を絞る構成もカラーブックスとしては異色です。

 (まあ、この種の類似本はカラーブックスでなくても山ほど出ているので必要性が薄かったのかもしれませんが)

 本書で取り上げられているのは1966年から1970年という「昭和40年代前半」の時期に現役だった車種。
 殊、日本車に限って言えばトヨタ2000GTやスカイラインGTーR、いすゞ117クーペなど「和製スポーツモデル、スペシャリティカーの勃興期の車が排出していた時期に当たります。

 もちろん同時期には海外でもランボルギーニミウラ、アルピーヌA110、ACコブラなどの伝説的スーパーカーも次々登場しており「スーパーカーブーム前夜」を彩っていました。

 それだけにどの車もが、試行錯誤と妙な勢いとが入り混じった独特のオーラを纏った車種ばかり。思えばスポーツカーが最も元気だった最後の時代(これ以降もスーパーカーやスポーツカーは出ていますが、基本的にはこの時期のスポーツカーやスーパーカーのコンセプトの焼き直しか技術的な熟成を果たした「後続の世代の車」と言えると思います)と言えます。

 一種のノスタルジーの視点からこれらのヴィンテージカーを車種ごとに取り上げて俯瞰したのが本書という事になるのでしょう。

 ですからカラーブックスの他の自動車本と異なり「写真は基本的に見開き1枚」一車種あたり4〜8ページを割くというとても贅沢な構成になっています。
 この辺りは趣味人ライターとしての著者の資質が最もよく発揮されているところで、本書を読むとこれまでのカラーブックスの自動車ネタにない、独特のゆったり感で眺められます。

 ポケット文庫としてのカラーブックスは基本ジャンルの俯瞰を特徴としたデータバンク的な構成が多いのですが、こうしたポケット写真集的なものは逆にとても新鮮に感じました。