トミカにならなかった「ホンダトゥデイ」のはなし | MODELと日々の徒然と

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 トミカにならなかったそいなみ車(そういえばいつの間にか見なくなってしまったクルマ)シリーズから
 今回紹介するのは1985年に登場した初代ホンダトゥデイをば。
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(モーターマガジン社「87東京モーターショー特集」 97Pより画像引用)
 1980年台前半は「47万円のスズキアルト」が起爆剤となりダイハツのミラ、スバルのレックスコンビ、三菱のミニカエコノと各軽自動車メーカーが「4ナンバー廉価仕様の軽ボンバン」を相次いで投入し活況を呈していました。

 そんな中かつてN360やライフなどを出してはいたものの10年以上軽乗用車にご無沙汰していたホンダもこのムーブメントを横目で見ていられなくなり満を侍して投入したのが初代トゥデイでした。


 ただし、当初は乗用車仕様は設定されず4ナンバー系ボンバンとしてのスタートでしたが、バンパーに丸目のヘッドライトを食い込ませた独特の未来感あふれるフェイス、そして他車にはないワンダーシビックの様なロー&ワイドなフォルムは注目を集めるには十分でした。
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(モーターマガジン社「87東京モーターショー特集」 97Pより画像引用)
 ボンネットは可能な限り切り詰められ居住スペースを広げたデザインコンセプトは一歩間違えるとダックスフンドみたいに見えてしまいがちですが、それをギリギリカッコよさとして成立させていたのは今見ても凄いことだったと思います。

 この未来的ファニーフェイスはモチーフとしても様になっていた事もあって漫画の「逮捕しちゃうぞ」アニメの「機動警察パトレイバー」などでパトカー仕様のトゥデイが大活躍する事になります(笑)
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(「MOTOR MAGAJINE SELECT500」121Pより画像引用)
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(「MOTOR MAGAJINE SELECT498」127Pより画像引用)
 ホンダ久々の軽乗用車(タイプ)となったトゥデイは期待通りのヒット作となりました。3年後には乗用仕様も追加されましたが同時に行われたフェイスリフトで没個性な角目二灯ライトになってチビシビックみたいな顔になり可愛げは失われました(笑)

 更に1993年にモデルチェンジした二代目は丸目二灯の顔や全体のフォルムこそ初代を踏襲したものの乗用車を意識しすぎたコンセプトとデザインで失敗してしまいました(ほとんど物が載らない独立式トランクや変にクーペルック化した窓周り、フォルムのダックスフンド臭を強めてしまった4ドアの設定など)
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(「MOTOR MAGAJINE SELECT500」121Pより画像引用)
 結局トゥデイはこの2代限りで準ワゴンRフォルムの「ライフ」に統合されてしまいました。その後はどれもこれもがワゴンRもどきだったり中身の革新性がデザインに現れにくかったバモスやZなどが続き、N~BOXの大ヒットまでホンダの軽乗用車は一種迷走状態を続けることになります。
 現在トゥデイ自体は名前を残しているものの、同じホンダでも「スクーターの名称」になっています。

 さて、他車にない個性的なフォルムとキャラクターが立った性格を思うとトゥデイがトミカにならなかったのは不思議としか言いようがありません。尤もあの当時のトミカは全般に軽自動車には冷淡でしたが。