ある日白ネズミは森の生き物に女の子の人形の制作を依頼しました。しかし森の生き物はその人形が手放せなくなり白ネズミにお金を返し人形を自分の物にしてしまいますどうしても人形が欲しい白ネズミは森の生き物から人形を盗んでしまいますが、、
こちらは2006年制作の アメリカ映画 です。 (71分)
13年という制作期間で作られた 大人向けストップモーションアニメ作品です。
ケーキにナイフを入れると虫と一緒に卵が現われます。 卵をティーポットに入れる
と、そこは不思議の世界へとつづいていました。 白ネズミ達が森の生き物 (ネズミ
にくちばしが生えたような茶色い生き物) に女性の肖像画を見せ人形の制作を依頼し
ます。
森の生き物は人形を作りますが、それを気に入ってしまい白ネズミに渡すのを拒否し
ます。 (沢山のお金を積んだのに~) ある日、川から流れてきた卵を人形の
お腹の中に縫い付け、家の外へと飾ります。(まるで十字架のよう) 夜、森の生き物
が寝静まった頃、どうしても人形が欲しい白ネズミ達は人形を盗んで行ってしまいま
す。
朝、人形が無くなっているのに気付いた森の生き物は、人形を取り戻すため白ネズミ
達の住む屋敷へと旅立っていきます。 旅の途中、不思議な植物に食べられそうにな
ったり、賢者のカエルに助けられたり、蜘蛛女に遭遇したりします。
一方白ネズミ達は屋敷の中で人形を身体にくくり付け、血のような赤いお茶を飲み、
絵札の描かれていないトランプに興じていました。すると人形のお腹の卵が孵化し、
人形の顔をした鳥がお腹から飛び出し外へと羽ばたいていきました。白ネズミ達は残
された人形のお腹に花を詰め込み、人形を気に入っていた一匹の白ネズミは、残され
た人形を抱いて鳥の後を追いかけます。
人形の顔をした鳥は蜘蛛女の巣に掛かっていました。 偶然それを見つけ森の生き物
は、蜘蛛女に鳥と果物と交換してもらい家路へ向かいます。 人形を抱いた白ネ
ズミと、その後を追って来た仲間の白ネズミ達はそれぞれの道を辿って森の生き物の
家へとたどり着くのでしたが、、。 というお話です。
セリフは一切なく、生き物が発する鳴き声と自然音、そこへ世界観にマッチした音楽
が流れるという独特な空間です。 物語の説明もない為、こちらで様々な空想をしな
がらお話を追っていく事になります。
物語に登場する白ネズミや森の生き物は、なかなか可愛らしい造形ですが、もめ事の
元となる女性の人形はかなり恐ろしいルックス。 同じように人間の顔をした蜘蛛女も
同様です。 それからも分かるように、ぱっと見子供向けのお話に見せかけた、かな
りの大人向けの内容となっています。
血のお茶をすすって白紙のトランプに興じる (ここがかなりの長尺で段々と面白くな
ってきましたが) お金持ちの白ネズミは、貴族や権力者の象徴のようで、対する森の
生き物は搾取される側の庶民でしょうか?
そういった大人目線で見ると人形や卵は女性の象徴のようにもとれますし、ガイコツ
頭の鳥等々、色々と深読みと解釈が出来る内容です
「チェブラーシカ」 の カチャーノフ 作品程動きは滑らかではありませんが、これは
これで独特のリズム感があります。 人形に着せている衣装 白ネズミの赤と森の生き
物の白のコントラストも良く、シャツで個性を出していたりする所がお洒落です。
反面、生々しい心臓を持ってるカエルや足を喰いちぎられる蜘蛛女、中盤の人形(こ
れ自体もちょっと怖い) から鳥が誕生する場面等、ややショッキングでホラー映画を
思わせる所もありますが、お子さんもご覧になれる作品かと思います、、 多分。