閑静な住宅地で暮らす老夫婦が、隣家の中年夫婦からクレームをつけられた。老夫婦宅の庭にそびえ立つ大きな木が、いつも日光浴をするポーチに影を落としているというのだ。それをきっかけにいがみ合うようになった2組の夫婦は、身近で相次ぐ不審な出来事を全て相手の嫌がらせだと思いこむようになる、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは2017年制作の アイスランド  デンマーク  ポーランド  

 

                                                             ドイツ ドイツの合作映画です。(89分)

 

 

隣人バトルのホラーかコメディだと思い鑑賞をはじめたら、意外とシビアな展開で驚

 

いたこの映画。 後から第90回アカデミー賞外国語映画賞アイスランド代表に選ば

 

れた作品だと知って、二度驚いた私でした、、。

 

 

 

 

  フィンランドのとある町で暮らすアトリとアグネスの夫婦。 ある日、浮気動画が

 

きっかけとなりアトリは家から追い出されてしまいます。 娘の事が気がかりながらも

 

仕方なく両親の住む実家に帰る事になるアトリ。 一方実家では、庭に立つ大きな木が

 

原因で隣の家と軽い言い争いが起きていました。 「木の影が日光浴の妨げになるか

 

ら剪定して欲しい」 という隣人夫婦の些細な頼みでしたが、頑なに拒否するアトリの

 

母親。(こちらが性悪) 父親はそんな妻に従うばかり。

 

 

 

 

 翌日、アトリの父親の車のタイヤがパンクさせられている事件が発生。ハッ妻は隣人

 

夫婦の仕業と考え、嫌がらせで返す事に。 そんな中、アトリはアグネスとの仲を修復

 

しようと奔走しますが、離婚を突き付けられてしまいます。落ち込むアトリをよそに

 

家のいざこざは続いていました。

 

 

 

 

ある日、今度はアトリの母親が飼っていたネコが行方不明に。 落ち込む母親はこれ

 

も隣人の仕業と思いこみ、夫婦が飼っていたシェパードを連れ出し、世にも恐ろしい

 

仕返しを企てます。 隣人の老夫婦(というか、ほぼ母親の仕業ですが) のあまりに

 

酷い仕打ちに隣人夫婦の夫の怒りは遂に臨界点へ達し、チェーンソーで木を切り倒そ

 

うとするのですが、、。    というお話です。  

 

 

 

 

大まかなストーリーを聞くとコメディ映画のようですが、これをシリアスに淡々と進

 

める所がフィンランド的。 アトリとアグネスの夫婦関係を回復しようとするお話と、

 

実家と隣の家との隣人トラブルが平行して進むのですが、今一つ二つのストーリーが

 

上手くかみ合わず、家族の様々な形と、それぞれの対比を描きたかったとは思います

 

が、アトリ夫婦の話しはいらなかったかような、、。 滝汗

 

 

 

 

アトリの兄の突然の死。 そのショックから精神に異常をきたした母親と家族。にし

 

ても、母親が隣家のシェパードにした仕打ちは、これまで観た動物の残酷なシーンの

 

中でも史上最悪な悪魔の所業であります。その後のシーンはブラック過ぎて笑ってい

 

いやら泣いていいやら、あの婆さんの憎たらしい事ったら。 爆弾

 

 

 

 

隣人夫婦も何やら闇を抱えていて、一本の木 というきっかけから互いの夫婦、家庭の

 

中にあった問題を隣家に責任転換して爆発してしまったように見えました。で、やは

 

りラストはそうなるよね~という展開に。 

 

 

 

 

切り倒そされた木ですが、根は残ったまま、まだ根は残っている という画の中にひょ

 

っこりと帰ってくるネコの姿に、人間社会の息苦しさを笑われているような気になり

 

ます。

 

 

 

 

一本の木という存在が家族を象徴したようなに描かれた本作。 ささいな事で壊れる

 

人間関係と家族のもろさを痛感させられた私でありました。 

 

北欧的な空気が漂う本作に興味が湧きましたら、一度ご覧になってみて下さいませ。

 

では、また次回ですよ~!  パー