ジョゼと虎と魚たち (映画)
大学生の恒夫はアルバイト先の麻雀屋である噂を耳にする。それは、近所に出没するひとりの老婆のこと。彼女はいつも乳母車を押しているが、その中身を知る者は誰もいないというのだ。そんなある朝、恒夫は店のマスターに頼まれて犬の散歩に出掛けると、坂道を走ってくる例の乳母車と遭遇する。そして、彼が乳母車の中を覗くと、そこには包丁を持った少女がいた。脚が不自由でまったく歩けない彼女は、老婆に乳母車を押してもらい好きな散歩をしていたのだ。これがきっかけで彼女と交流を始めた恒夫は、彼女の不思議な魅力に次第に惹かれていくのだが…。
- ジョゼと虎と魚たち - 監督 犬童一心 脚本 渡辺あや 原作 田辺聖子
出演 妻夫木聡、池脇千鶴、上野樹里、新井浩文、新屋英子 他
こちらは2003年制作の 日本映画 です
(116分)
基本 ザ・恋愛映画 と思しき作品 (特に日本の) は避け気味 (偏見と照れ) の私な
のですが、知人の方に紹介されまして今回鑑賞させて頂いたのでありました。
適当に楽しく大学生活を楽しんでいた恒夫が、バイト先の犬の散歩を 早朝 頼まれた事で都市伝説化 した 乳母車 を押す老婆と出会う事になります。 というか、乳母車だけが坂道を下って来て、後から老婆がそれを追う形で登場するのですが、、、 恐る恐る 乳母車の中の毛布をめくると、中には怯えたような女性が入っているのでありました。次の瞬間!中から 出刃包丁 を突き出す手が飛び出して来るのでした このシーンの出刃包丁が出て来るタイミングとスピードは絶妙で、その後の呆気にとられた間も生きておりました その流れで家まで送る 恒夫でしたが、家へ招き入れられ 朝ご飯を一緒に食べる羽目になります (これ 大変美味しそうでありました)
そこで二人の生活を見る事になる 恒夫 祖母と二人暮らしの くみこ (好きな作家の登場人物の名前、ジョゼ を自分で名乗っております) 足が不自由ですが、車椅子は嫌い、読書好きで、祖母との散歩(乳母車での)も好きですが、祖母は世間体を気にして早朝しか彼女との散歩をしません。 それどころか ジョゼ に 「お前は壊れ物だ」 と言い放つのです。 祖母は祖母なりにジョゼを守ってやろうという責任感 があるのでしょうが、いかんせん口が悪い 女性一人で生き抜いてきた証でしょうか?
恒夫はそこから何故かその二人の暮らしが気にかかるようになり、度々訪れるようになります。 キャンパスの 恒夫の生活は、セッ〇スするだけの女性と、可愛い彼女も居る、ある種充実したものなのですが、そこでは見る事の出来ない、別の現実を見たからでしょうか?興味本位からでしょうか?深く関わって行くことになります。 ある日乳母車を改良し、昼間にジョゼと街を走る印象的なシーンがあります 勢い余って河原に乳母車ごと落ちてしまう場面があるのですが、恒夫がジョゼに声を掛けると ジョゼが「殺す気か、」と、ポツリ 一言こぼす場面にはまる私でありました (個人的に部分々、北野映画の間を意識させる編集を感じてしまいましたが、、、)
他にも印象深いシーンは幾つかあります。 祖母が亡くなり遂に恋人の関係になりますある日、近所の子供に乳母車を押してもらって散歩するジョゼに恒夫の元カノが近づき (ここの子供の行動も良いです) ジョゼの足の不自由さを利用して恒夫を奪ったと詰め寄り、嫉妬でジョゼに ビンタします。 黙って右手を出すジョゼ、元カノも顔を近づけビンタを受けます まるで 黒澤の「椿三十郎」 のラストを観ている緊張感です。動物園で虎を見てジョゼの恐怖を二人で体感する場面 そして初めてジョゼとのドライブシーン。 一気に広い世界を体感するジョゼ 二人でのデートは常におんぶ 車椅子を拒否していたジョゼの心境として、常に恒夫を抱きしめていたかったからかも知れませんね。
休館していた水族館での二人の表情と、車の中での微妙な温度差で二人の気持ちのずれを予感させる部分を感じてしまいましたが、その後の海でのラブラブ感、そして次のホテルでの恒夫のそっけない態度 ゆらめく二人の気持ちの表れでしょうか?そして本当にあっけなく訪れる別れ 恒夫がジョゼの家を出ると、橋の上で待っていた元カノ。怒涛の展開で女性は引く事請け合いです。 その流れで街を行く恒夫と彼女のショット。
ここは秀逸で、二人のセリフは画面を横切る車の雑音によって、観客には途切れ途切れに聞こえてきます。 というか、ほぼ聞こえません。 そして感極まったのか恒夫は彼女の前で泣き崩れるのです。 ここでセリフが聞こえづらかった意味が分かります。 恒夫の心情を表現したものだったのでしょう 心はジョゼの所にまだ残っていて、今の彼女の声は彼には届いていなかったのをこういった映画的表現で表した監督さんに拍手です。
何故このような結果になったのかは二人にしか分からない事ですが、明らかな事はこの映画が描いている物は 「成長」 です ジョゼ との 生活を体験した恒夫は、もうただ楽しい気楽な日常には戻れない人間になったでしょうし、ジョゼ は車椅子を使い、自分で買い物をする生活を始めています つまり外の世界に足を踏み出す事を、自ら選んだようです。 そして再び 魚 を焼くジョゼ ラストショットの 「ドスン!」
が彼女の強さを強調したエンディングでした ですからこの映画は決して悲しいお話 と一面的に捉える事はないのです。
タイトルにある「魚たち」は何を意味しているのでしょう?深い海に潜っていたという ジョゼ。それは自分以外の、多くの普通に生活をしている人達を指しているのでしょうか?確かな事は 焼き魚で無い事は確かでしょう、多分、、あのウサギの人形も良いですね とにかく本作は 池脇千鶴 が光っております 独特の存在感と、独特の関西弁 ジョゼそのものでした 対する 妻夫木聡 は、ただただ妻夫木聡でありました 良くも悪くも、、。私のような、日本の恋愛映画が苦手な方こそご覧になって頂きたい作品ですし、とにかく 池脇千鶴 のジョゼの世界に浸ってみてくださいませです。
では、また次回ですよ~! ![]()
日本予告が無い為、変な韓国ソングが入っておりますが本編には登場ません 。
ショートバージョンPVですがくるりの 「ジョゼと虎と魚たち」 のテーマ曲です![]()











