株式譲渡の手続と流れ | 資金繰り 事業再生 M&Aアーク司法書士法人@代表社員 李 永鍋(リ ヨンファ)のブログ

1. 株式譲渡とは

株式譲渡とは、売り手の株主から買い手へ株式を売却して経営権を引継ぐM&A手法です。

株式譲渡は、株式の売買で経営権を譲渡できるので手続きが簡単で、日常業務への影響が少ないメリットがあります。


一方で事業譲渡と違い、株式譲渡では売買する事業や資産の個別選択はできないので、買い手はリスクを抱える可能性もあります。


中小企業の多くは後継者問題を抱えてます。

第三者への事業承継によって後継者問題の解決を図るケースが増えてきました。

比較的手続きが簡単でデメリットの少ない株式譲渡は、M&Aによる事業承継を実施する際に多く用いられる手法です。

債務超過の会社には負担の多い手法です



2. 株式譲渡の手続き・流れ

株式譲渡の手続きは株式譲渡制限(会社法107条1項1号)の有無で変わります。譲渡制限株式の株式譲渡を行うには以下の手続きが必要です。


①株式譲渡承認請求

②取締役会、又は株主総会の開催

③株式譲渡契約の締結

④決済

⑤株主名簿の書換え


①株式譲渡承認請求(会社法136条137条)

譲渡制限株式を譲渡する場合、株主は会社から株式譲渡を認めてもらう必要があります。その際に必要となる書類が、株式譲渡承認請求書です。株主は、譲渡する株式の数や相手を株式譲渡承認請求書に記載して提出します。


ただし、会社側が株式の譲渡を認めないケースがあります。株式譲渡が認められなかった場合に備えて、株主は会社や指定買取人に対して株式を買い上げるように要求できることが、会社法で定められています。


株式譲渡承認請求を行う際の注意点

株式譲渡が認められなかった場合、株式は会社又は指定買取人によって買い上げられますが、その際の売買価額は会社と株主の交渉によって決められます。売買価額の交渉が決裂すると、最終的に裁判の判断になります。


非公開会社の株価を適正に算定するのは難しいものがあります。株式譲渡を行う際は、M&Aの専門家などに依頼してあらかじめ株価算定をしたり、交渉のサポートを受けたりすると手続きがスムーズです。