自己破産後の会社設立 | 資金繰り 事業再生 M&Aアーク司法書士法人@代表社員 李 永鍋(リ ヨンファ)のブログ
1.自己破産後の会社設立
会社が自己破産するときに経営者も、会社と同時に自己破産することが一般的です。

会社の負債は、経営者個人が連帯保証していることがほとんどだからです。
経営者が自己資金で運転資金や、未払いの給与・役員報酬等を、決算上、短期貸付金や未払金といった名目で計上することで、経営者個人が会社に対する債権者の1人となっているケースも見られます。

自己破産した経営者が、再び会社を設立して役員(代表取締役・代表社員含む)となることは、法律上問題はありません。

以前の法律(旧商法)では、破産者であることは株式会社の取締役の欠格事由となっていました。そのため、破産者(破産開始決定を受けた者)が会社役員に就任するには、免責(借金がゼロになること)による復権を待つ必要がありました。

しかし、現在の法律(会社法)では、破産者を取締役の欠格事由とする条項は削除されています。

したがって、免責を受ける前であっても、会社の取締役に就任することは、全く問題ありません。

現在取締役の地位にある者が破産を申立て、破産開始決定を受けた場合、その時点で、一旦は取締役を退任する必要がありますが、その人を取締役に選任する旨の株主総会決議を行なえば、破産手続中であっても、再び取締役に就任することが可能です。

一定の業種については、代表者が破産者であることが、営業上の許認可を与える上での欠格事由であると定められている場合があります。

貸金業、旅行業、測量業、宅地建物取引業、卸売業、建設業、警備業、風俗業などの新会社を設立するときには、特に注意が必要です。それぞれの事業に適用される業法等のルールの内容は、予めよく調査してください。