資金繰りで売上より大事なこと | 資金繰り 事業再生 M&Aアーク司法書士法人@代表社員 李 永鍋(リ ヨンファ)のブログ
1.売上より大事なこと

「売上」の数字はわかりやすく、会社のみんなが、わかる数字です。営業を管理するのも売上さえあれば、今月はいくらの予算が達成しているかが一目瞭然です。
しかし、「売上」以上に大事なのは「粗利=利益」になります。

売上は値下げをしてしまえば、目標達成することは簡単ですが、粗利益を管理するのは原価計算がしっかりしていないと、なかなか難しいのです。
適正な値段で売るには「経営力」が問われます。



2.売上だけに目がいく社長の共通点

資金繰りの相談を受ける社長のなかで、「売上」だけに目がいく社長の共通点があります。

① 決算書、試算表が読めない
② 資金繰りを管理していない
③ お金が足りないとすぐに借り入れに頼る
①~③に共通していることは「お金、数字に弱い」

売上以外の管理は経理や税理士等の「他人任せ」にしていることも共通点です。資金繰りを管理していないことから、足りなくなるとすぐに「借入をしなければいけない」との考えになってしまいます。



3.売上が下がることの不安

社長であれば、誰でも共通していることだと思いますが、売上だけに目を向けている社長は特に「売上が下がる」ことに不安が強いと感じます。資金繰りをするためには、本来は「利益」ですべきなのですが、「売上」で資金繰りをすると、無理な受注、赤字の売上を作ってしまい、結局「赤字」でそのツケは、後日資金繰りに困る「負のスパイラル」に陥ってしまうのです。

支払いのため赤字の仕事を受注、赤字で支払い不足
借金を借金で返す
負のスパイラル、無限地獄に落ちます



4.粗利を把握するにはどうしたらいいか?

「粗利」を把握するためにはどうしたらいいか?
これは業種によって様々です。製造業と卸売業における粗利把握のポイント。

製造業
製造業で製造原価を構成する主たるもの「材料費」「外注費」「労務費」になりますが、この区分けをきちんとできているかです。
「売上」で変動する「変動費」と「売上」いかんに関わらずかかる「固定費」がきちんと分けられていないと、正確な「粗利」は計算できません。また、労務費の適正管理(勤務時間、残業代など)も原価管理に必要です。

卸売業
卸売業のポイントは「仕入」と「在庫」になります。特に「在庫」が占める重要性は高く、「棚卸」がどのくらいの頻度で行えているか?在庫管理の内部体制がどのようにできているのかが「粗利把握」のポイントです。在庫管理ができていることで、「仕入」の増減がきき、粗利の上昇に寄与します。

棚卸は年1回しかできないのはやむを得ないかもしれませんが、簡易にどのくらいの在庫高をもっているのかについては、3ヶ月に一回ほどは把握しておくことが必要になります。

会社は「利益」を上げて、社員、株主やその他関係人に報いることにあります。「売上」はあくまで「粗利」を作る手段である!と認識を変えることが、「数字」に強くなる一歩です。