融通手形での資金調達は危険 | 資金繰り 事業再生 M&Aアーク司法書士法人@代表社員 李 永鍋(リ ヨンファ)のブログ

融通手形とは、商品の売買が無い(原因不存在)のに振出す手形の事です。いわゆる空手形です。


受取人はこの手形を銀行等第3者の所へ持って行って、手形を割って金を借りるのです。


振出人→受取人→銀行

金融の為に手形を融通するので、融通手形と呼ばれています。手形を貸した借りたとか言っているのは融通手形の事です。


銀行から借入が出来なくなった会社が取引先や友人に手形を貸して欲しいと頼んで、融通手形を振出して貰います。

融通手形を銀行へ持参して割引くと資金が出来ます。信用のなくなった会社にとっての資金調達手段です、取引もないのに手形を振出して貰って資金を作るのです。


融通手形の支払期日が来るとそれを借りた会社は資金を振出人に渡し、その金で手形を決済します。


手形を借りた会社が商売がうまくいって融通手形を決済する資金を準備出来れば問題は起こりません。

しかし、元々資金繰りに苦しい会社が融通手形を決済する資金を常に準備出来る筈はありません。


そのうち、資金が続かなくなって融通手形を決済出来なくなり倒産してしまいます。


この手形を割引いた銀行は振出人に請求します。

振出人は頼まれて手形を振出しただけで、商品の売買のない融通手形であると抗弁した場合銀行等3者に対抗できるでしょうか、これは出来ません。


振出人と受取人が融通手形である事が分かっていても、これを第3者には対抗出来ません。

銀行等第3者が融通手形であることを知らない善意者であろうと、知っている悪意者であろうと、振出人の融通手形の抗弁は成立しません。


銀行等から手形上の権利を行使されますと、振出人は拒絶することができないので支払わなければいけません。

好意で手形を貸してあげたにに相手が倒産すると振出人は手形を決済しなければなりません。


商売上の取引がないのに手形を振出したのですから、その手形を決済するのは大変です。

融通手形が決済できないとこの会社も倒産することになります。

融通手形をお互いに振出すというのも良く行われています、資金繰りに苦しい会社同士が互いに融通手形を発行し合うのです。「書合手形」とか「馴合手形」とか呼ばれています。

互いの信用力を利用しあっていますので、一方が倒産すると必ず他方も倒産します。自分が振出した手形を相手が振出した手形との2通とも決済しなければならなくなり、資金が続かなくなって倒産します。

銀行から借入れが出来なくなって融通手形を利用しなければ事業をやっていけないという状態になった時は、既にその会社は倒産の危険があることに間違いありません。