これは老女の備忘録として書いています。
先日、半年ぶりに弟君とライブハウスに行きました。
知り合いの方の演奏会で、連絡が入っていたとのこと、久しぶりの生の音は身体全体を包むように降り注いできて、細胞すべてが音のシャワーを浴びたように潤いに満ち溢れてきました。本当に実感できるのです、このヒタヒタとくる感じが・・・
これだから、音楽はなるべく生演奏がいいんですよね。
久しぶりに会ったので、仕事の話などを聞こうとすると、そんな話はよそうというのです。
ひと時を、音楽に身をゆだねて、心地よく過ごしたいとのこと。
勿論、私に異存があるわけもなく、まあ、それから気持ちよくスイングできたのは、ワインのおかげもありましたけど...
弟君はいつもどおり、恋の話をしてくれますが、最近気になっている女性は30代の
現役ダンサーさんだそうで、なんとなく(押し)ているとのこと。
彼女の仲間も引き連れて食事を奢っているといっていました。
そうね、すこしでも近づきたい,ずっと見ていたいなら、そうするしかないわね。
チャップリンの「街の灯」の主人公と盲目の娘の関係ではないけれど、老いた男は
恋心を悟られないように、若い娘へ献身するのね。
弟君は惚れっぽいので、これまでにも幾多の妄想恋愛を繰り返してきましたが、今回もその一話になるのでしょう、そして、その彼女が今、お熱を上げているのが、ある若手の伝統芸能の旗手だそうです。
その若者はまた、別のジャンルの歌手に恋しているとか、叶わない恋心のロンドが繰り広げられている話を私は面白く聞いていました。
それにつけても思うんですが、こんな気持ちを持ち続けられる老人って、他とくらべものにならないぐらいエネルギーがあるんですね、きっと。
そして、多分、自分に甘く、ものすごく自分のことが好きなんでしょうね。
少なくとも、弟君の今までを見ていると、この人は失敗を恐れない、めげない人なんだと思います。
その晩、別れ際に弟君が言った言葉、「姉さんは、相変わらず、自分の穴から抜け出せないんだなぁ。そんなことじゃ、折角の人生が半分も味わえないでしょ。勿体ないよ」
そうかもしれない、でも、あなたには言われたくないわ。
私のささやかな矜持が胸の中でむくむくと沸き立ちました。