ルーミーの納車と日本のものづくりに思うこと | フルメタルジャケット

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こんな時代だけれど、日本のモノづくりを再起動したい。

先日ご紹介した、今年の4月に92歳になる母が買ってくれたルーミーが、先週末に無事に納車されました。

 

バイト先のディーラーがお休みの昨日、ルーミーに乗って母のいる老人ホームにやって来ました。

 

コロナの影響で、まだまだ外出にいろいろ制限がありますが、このクルマで、できるだけたくさんの楽しい思い出を作ってあげたいと思います。

 

 

 

このコンパクトなサイズに広い室内。

わたし的には、これこそが現代の国民車にふさわしいと思います。

取り回しがとても良いですよ。

 

こうやって、真横の写真を撮ると”渋い”ツートーンカラーがなんとか判ります。ウインク

 

 

 

そして、大きく開くドアは、とても乗り降りし易いです。

母にはできるだけ長く自分の脚で歩いて、いろんなところに出かけて欲しいと思います。

 

 

そして、大きく開くバックドアの向こうには、車椅子が必要になっても余裕で積み下ろしができるスペースが広がります。

 

このスペースは後席をダイブ・ダウンして倒すとさらに広がります。

やがてここには、私のライフワークとするサーフィン発電の実験機材が積まれることになるでしょう。

 

 

運転席のレイアウトも、少しレトロだけど、それも含めてお気に入りです。

特に、センターパネルの一番上に鎮座するアナログ時計が良い雰囲気を出しています。

 

これから大切に乗ってゆきたいと思います。

 

ところで、この日の夕方はYouTubeで、ダイハツの認証不正に関する記者会見を生中継で見ていました。

 

ルーミーもダイハツのOEM車だし、何らかの関りがあるようで残念です。

 

私は現在はトヨタ系のディラーでバイトをしているし、30歳代の前半に半導体用フォトマスクの製造で品質保証係長をしていたこともあるので、会見の内容は今の日本のもの作りの現状と併せていろいろ考えさせられました。

 

このブログのサブタイトルにも、

”こんな時代だけれど、日本のモノづくりを再起動したい。”

と掲げているくらいだから、まだモノづくりにこだわりを残しています。

 

半導体用フォトマスクと言うのはLSIなどの半導体を製造する際にに、回路パターンを焼き付けた、昔の写真で言うネガに該当するものです。外観は6インチ四方の大きさのガラス板ででています。基本的には一品一葉の個別生産で、とても高価なものです。その当時でも先端品のフォトマスクは、高級車よりも値段が高かったです。

 

そんなフォトマスクは、とても高額な設備を使って製造され、そしてとても高額な検査装置で検査をした後に、合格品が出荷されます。

 

しかし、問題なのが品質的にグレーなものを出荷するかしないかを判断することで、これは日常的に発生していました。

 

(顧客との取り決めで、明確に数値でスペックが定められていて、その数値に入らいらないものは明らかにNGですが、百分の1μm以下のサイズで評価される製品の品質に関して、取り決めに無い問題はいくつでも出てきます。)

 

その判断を任されていたのが私でもあり、他部署とのぶつかり合いは常でした。

 

常に歩留まり向上のプレッシャーの下で仕事をする製造部門、限られたリソースをフル回転させながら時間単位の納期に追われる生産管理部門からすれば、出荷できる可能性のある製品はなんとか出荷したいのは当たり前です。

 

それをまだまだ若造の係長が、えいやーっ!!でNGとするのですから、周囲の怒りを買わない訳がない!!。

 

でも、それはその時だけのこと。それでダメなものをダメと言いにくくなる雰囲気は全くありませんでした。

 

それは、お互いの立場を理解していたし、社内全体で強い連帯感があったからだと思います。

 

私だって、製造部門や生産管理部門がどれだけ大変かを知っていました。そして相手側も、不幸にして品質事故があった際に、黒焦げになるのを百も承知の上で改善策を整えて、客先に出撃してゆく私の立場を理解してくれていました。

 

”お互いに背負っているものはみんなの生活なんだから”と。

 

非常に泥臭い話ですが、私はこれが日本のもの作りの強さのひとつだと思います。

 

グローバルやら、合理化やら、労働者の流動性の確保やらなにやらカッコの良い言葉が流行りもしますが、モノづくりの現場は泥臭くても強い連携と相手の立場に対する深い理解が非常に重要だと思います。

 

これまで、いろんな立場で日本人なら誰でも名前を知っているような大企業の現場にいくつも入って来ました。そして、今なお強さを誇るメーカーにはこんな雰囲気が今でも残っているように感じています。

 

”こんな時代だけれど、日本のモノづくりを再起動したい。”

改めて、そう思いました。