自分を評価できる子どもに! | 「衣食住育学」石川幸夫のブログ

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教育畑40数年、猫好き、子ども好き、音楽好き!幼児、小学生の算数指導用に、水道方式のタイルを独自開発。教育評論家・教育研究家・子育て評論家としても活躍中です。

 

 TODAY'S
 
自分を分析する!

■子どもの心に問い掛ける!

 今日もご訪問頂きありがとうございます。

 

 鑑定・査定・判断・審査・値踏み・品定め・審判・アセスメント、これらは「評価」という言葉を置き換えた単語です。そして、私たちは、好むと好まざるとに関わらず、様々な場面でこの「評価」を受けています。そして、子どもたちも同様に、教育現場や家庭、子どもの社会、生活環境の中で「評価」を”受けて”います。

 

 教育内容の評価は、多くの場合、数値に置き換えられ、表現されており、テストの点数から判断される偏差値などはその代表かもしれません。いつの間にか、こうした環境から「評価される」側に立ち、それが当たり前のようになってきました。特に、我が国はこの傾向が強く、なかなか自分を見つめ直す機会に恵まれません。

 

 以前、教室を訪ねてくる子どもたちの中に、既に疲れ果てている状態の子どもが時折きます。その殆どが、自分のことなのに、生活や学習状況を語れず、同席しているお母さん、もしくはお父さんが語ることになります。周囲からの決めつけで、自分自身はこうなんだ!と思い込んでいる子のなんと多いことか。

 

 今、教育界では、「自己肯定感の向上」が声高に叫ばれています。しかし、常に子どもに対し「評価」をし続ける体質から抜け出さなければ、子どもの自己肯定感は高まりません。自分を知る事から始まる自己肯定感は、人の評価ではなく、自分自身をどのように捉えているのか、良い所、悪い所を踏まえ、これからどうして行きたいかを探る指導が必要なのだと思います。

 

 今取り組んでいるのが、この「評価」についてです。子ども自身に自分を評価して貰うのですが、その手前で、自分自身の分析が必要になります。まずは、1回の授業を振り返ることから始めます。子どもたちの日常は、時が無駄に流れている場合が多く、幾つかの節目で、自分の行動を見直す時間が必要です。でも、初めから全てを見直すことは不可能に近いので、分かり易い授業の見直しという「評価」を4つの項目に分けて行います。今日の授業で知っていたことから始まり、今日の授業で自分自身が変わったところ!などを書いて貰います。初めから書けるわけはなく、授業をこうして振り返ることもあまりなかったと思います。これを低学年から始めています。

 

 今の子どもたちの多くは、自己肯定感を高める環境にないので、時間を掛けて、自分を見直すことを学んで貰います。最終的には、自分自身の人生としての目標や計画を語る所まで、段階を追って一緒に考えて行きます。課題を見つけるところまでが目標になります。自己肯定感とは、自分自身の自己評価ができることが前提になります。この過程で学ぶ自己分析は、そのまま学習でもダイレクトに活かされていきます。

 

 教室を訪れた小中学生に、自己肯定感が極めて低い子には、子どもの心に問い掛けることを毎回行っていました。自分の悪いところは、親も含め、周囲の人から毎日のように聞かされている場合が多く、まるで洗脳されたような状態になっている子は珍しくありません。その心を解きほぐし、自分の良い所に気付くよう、言葉がけをします。「君には、こんな良いところがあるじゃないか!」とこちらが評価するのではなく、「結構、自分には良いところがあるじゃない!」と気付き、自己評価できるように導きます。

 

 こうして、長所も短所も含めて自分自身なんだと言うことが分かってくると、表情も変化してきます。笑顔が多くなり、発する言葉も大きく変わってきます。「評価は人から受けるだけでなく、自分で自分を評価できてくると、心が楽になり、前向きになる!」と言った言葉がとても印象的でした。人は、点数だけでは計れない可能性を秘めているのですから。