「衣食住育学」教育研究家・子育て評論家 石川幸夫のブログ

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教育歴50年 子育て・教育について毎日更新
教育現場で長く子どもたちを指導。社会で活躍している子どもたちを多く輩出。また、教育評論家という肩書も持ち、多くのテレビ番組に出演。その経験と、教育・子育ての専門家として、様々な内容を深く専門的に語ります。

 

予想以上に軽視されている「音読」 

■よく言われる「授業を聴いて、教科書を読めば勉強はできるようになる!」って

 今日もご訪問頂きありがとうございます。

 

 以前から、学習に効果の上がる「音読」をお勧めしているのですが、意外にも、教育現場で、あまり関心のないことに気付きました。それは、一般家庭でも言えることで、「そんなの、黙って読めば良いことでしょう。」これは、音読を勧め、それを実践した生徒が、お母さんから言われた一言です。ただ、この生徒、その後も続け、見事難関校をトップ合格を果たしました。そして、卒塾後も旅田に尋ねてきてくれ、大学も本人の行きたかった大学、学部へと進んでいきました。

 

 私が連載している月刊私塾界という教育誌が主催するセミナーに参加した折、懇親会で、「OTOBANK」(オーディオブック)の代表からご挨拶を受けた際、この「音読」で盛り上がり、その後もい付き合いさせて頂いてます。

 

 「音読」は、学びの原点です。書かれた文字を音声に変える、この言語処理システムこそ、人間が進化してきた原動力だと言われているほどです。幼い子が、母親から言葉を聴き、学び、自らの知性を伸ばしてきたように、人の学びは「聴くことから始まっている!」と言えます。

 

 幼児期の子どもは、誰もが文字を読めない、認識ができない状態です。だから「耳で読む」という読み聞かせが、子どもの脳にとって最高の学びの場となるのです。健常児であれば、その後文字に関心を示し、読むことが可能になります。

 

 毎日何度も同じ本をせがむ子がいます。この子は、その本を聴くことで全体を記憶し、次の内容が読まれると、自分の頭の中にある内容と照らし合わせ、同じであることで達成感と言う自己報酬機能が働き、更に想像を深めていくことになります。この繰り返しの中で、「内言語」と言う心の言葉を数多く蓄えていきます。

 

 読み聞かせは、幼い子にとって、耳で読む読書です。この繰り返しの中で、時折、本と同じ内容の言葉を発することがあります。暗記された文章が言葉となって発せられる瞬間です。文字を覚え、こうして、本を読む、音読への準備が整っていきます。

 

 読み聞かせは、お子さんが自分で読み始めても、時折、「読んで!」とせがんでくることもあります。そんな時は、子どもの脳が望んでいるので、読んであげて下さい。読まれている内容を聴きながら、その言葉をシンクロさせていく、これは、その先の「黙読」に繋がるいわば準備段階となります。

 

 「音読」も「黙読」もしっかりした指導でのみ、本当の「読む」という行為になります。意外に、誰もが「黙読」ができていると思い込んでいます。同じ本を後日読み返したとき、記憶にない文章や場面が出てくるはずです。読んでいるようで、目は活字を追っているようですが、意識は別の方に向いている、「マインド・ワンダリング」心の迷走状態の時です。

 

 音読すると、読むことに集中するので、心の迷走は起こりません。だから、学習には意識が向く音読を勧めるのです。「黙読」は、音読から黙読への橋渡し学習が必要なのです。昨日、夏休みの家庭学習に教科書の音読をお願いしたのは、集中し意識できる学習だからです。誰もが簡単にできると思っていますが、学生時代を、国語の教科書を読むことが苦手だったことはありませんか。

 

 お子さんには、幼い頃からの読み聞かせ、そして、声を出して読む音読を勧めて下さい。間違いなく、お子さんの国語力と共に言語力を加えた学習成績にその効果が表れるはずです。

 

今から計画する、夏休みの学習 

■教科書の3分間音読が効果を発揮する!

 今日もご訪問頂きありがとうございます。

 

 世の中選挙モードに入ってきました。私の住まいは、今の世の中では珍しい、人口増加が著しい流山市にあります。ただ、そうはいっても、街宣カーは、人口の密集する「流山おおたかの森」近辺で活動しているので、住まいの周辺は意外と静かです。

 

 さて、もうすぐ夏休みですね。学習面から見ると、この長期休みは、子どもにとっても、親にとっても、指導する先生にとっても心配の休みになります。近年の調査では、長い休みの後、子どもたちの成績が大きく落ち込むからです。

 

 それは、きまり決まった生活習慣から離れ、自分自身で生活をコントロールしなければならないからです。特に、共働き家庭などは、子ども自身の管理能力にかかっています。家庭学習の差が、休み明けの学力差に繋がるので、夏休みの過ごし方には注意が必要です。

 

 毎日に学習は、夏休みの学習課題を計画的に進めるのですが、学校とは違い、憩う場所、生活の場所としての家庭ですから、集中力も学校ほどではありません。

 

 適切な学習時間は、年齢×3分程度で、良く知られている学習法には「ポモドーロテクニック」と呼ばれる方法があり、25分間の学習、5分間の休憩を1セットとして、高学年や中学生などはこれを数セット行います。

 

 また、仕事から帰ってきて、その日の学習確認を必ず行ってください。昨日と比較し、どの程度行ったかの確認で、出来なかった場合もありますが、今日行ったかどうか、その量はどれだけかを確認するだけで、けしてやらなかったことを責めてはいけません。

 

 そして、今日の学習の仕上げとして、国語の教科書(他の教科書でも可)の3分間音読をしてもらいます。親は、それを聴きながら、家の仕事をしてもかまいません。

 

 これを毎日行うことで、休み中の学力の停滞はなくなり、教科書の音読が、復習や予習にもなり、新学期が始まってもスムーズに学習体制に入ることができます。

 今日、明日の都合の良い時間、親子で計画してみては如何でしょう。
 

 

 

 

 

右脳教育とは一線を画したフラッシュカード指導が… 

■耳を鍛え言語発達を促し、さらにアクティブ・リコール学習にも

 今日もご訪問頂きありがとうございます。

 

 スマホの急速な普及により生じている、子どもから、大人までのスマホ依存と、記憶力の低下と集中力低下が見られるスマホ認知症。ここに、これまで何度もお話をしてきた「フラッシュカード」が救世主として再登場していることは既に伝えました。ただ、もう少し付け加えさせて頂きます。

 

 フラッシュカードは、どこか高速フラッシュと言うイメージがぬぐえませんが、その指導法如何で、十分記憶力向上に繋がることが解ってきました。そこには、進歩した脳科学からのエビデンスや、「右脳:高速」というフラッシュカードの指導は無理があるとした脳科学からの指摘など、新たなフラッシュカードの展開が始まっています。

 

 特に、正しいフラッシュカード指導で得られる記憶力向上は、子どもたちの救世主とも言えるでしょう。エピングハウスの忘却曲線で示されるように、人の記憶は20分後には42%も忘れられていきます。1か月後に残る記憶は21%前後と、人の脳は、多くの情報から、脳を守るために「忘れる」という機能を持っています。

 

 

 しかし、繰り返し入力される情報は、必要情報として処理され、短期記憶から長期記憶へと蓄積されていきます。短時間に、必要な情報を学び直すにはフラッシュカード学習が適しており、そこが、スマホ脳に苦しむ子どもたちを救うとまで言われています。

 

 見直されているフラッシュカード指導は、高速で行い、入力だけの詰め込み型ではなく、脳内の言語認知と言語運動を併せ持った指導で、正しい発音と発声、そして、リズミカルに行われることと、聴いた言葉を復唱するという、言語運動機能を持たせています。このことにより、聴いた情報を復唱し、更にその自ら発した言葉を聴きとるという、言語活動に言語の運動機能を組み込むことで得られる言語認識と記憶力向上に繋がっています。

 

 ここで、専門的なエビデンスにより、捲るスピード、枚数などが決められており、そこから算定されたカードの枚数が決定されます。その捲るスピードが、学習者に適度な緊張感を与え、それが聴く力、見る力、集中力、記憶力を養います。

 

 フラッシュカードは予習にも、復習にもなり、上図のように、カードで復習の指導を行うことで、記憶の積極的想起という場を作り、それが、今、教育界で話題となっている「アクティブ・リコール」と言う、記憶力を高める学習として取り上げられています。

 

 このフラッシュカード、見るという感覚は右脳、聴いた音声情報と、視覚で捉えた視覚情報は感覚的言語中枢に送られ、その意味や内容を認識します。そして、言葉を発する運動的言語中枢へと送られ、小脳との連携で、音声として発せられ、その音声情報がまた自分の耳から、脳へと送られていきます。

 

 このフラッシュカードは、今、新たな局面を迎えています。右脳教育と言う、狭い捉え方ではなく、右脳左脳、そして、小脳までも活性化させる言語運動として再登場しています。声に出す学習は、まさに情報の出力学習でることを再認識させてくれます。

 

 

証明問題をしっかり音読する=基礎学習と言う素振り 

■声を出す学習!

 今日もご訪問頂きありがとうございます。

 

 今日のタイトルを読んだだけで、読む意欲を失った方は多いのではないでしょう国語や社会科ならいざ知らず、算数・数学を音読とは何事か!」と、お叱りを受けそうですが、人間社会では、物事の理解は聴くか、読むか、この二つになります。「見る」も入りますが、読む行為には見ることも含まれるので、あえて加えませんでした。

 

 また、タイトルにある「証明問題」、もう面倒くさい!という声が聴こえてきそうです。まずは、小学校の算数ですが、計算問題でも、文章問題でも、また、図形などの問題でも「見落とし」や「読み飛ばし」(黙読)によるミスは後を絶ちません。

 

 工事現場などによくある「指さし確認」同様、学習では、低学年の内に確認学習として、音読をするよう、生徒に指導をしていました。音読をしっかりすることで、自分が読んだ声を聴くことで、見て聴く二つの確認作業ができるからです。

 

 勿論、その手前で、国語でしっかり音読学習を繰り返し行います。音読学習は全ての指導教科で行うことが鉄則だと思います。音読がしっかりできるよう、先生や親が確認し、しっかり読めるようになった子は、行間に目が慣れ、それに従い読む速さも増してきます。この段階で、大事な行間認識、読みの正確さ、そして、言葉を発したことによる、「ことば」の認識が脳内に刻まれ、読むことで理解力が増してきます。

 

 この国語を中心とした音読学習は、黙読へと導かれ、音読時とは比較にならないほど黙読スピードが上がってきます。すると、いつの間にか、テストなどで、黙読スピードと、その読みの正確さから気付くと時間的余裕をもってテストに臨むことができ、成績も上がってきます。

 

 こうした系統的な読みの指導を受けていない子どもは、大多数が黙読でき状態になり、長文読解などで躓いていきます。これは、子どもの責任ではなく、指導する側の責任と言えるでしょう。誰もが読めるはず、黙読もできるはずと思いがちですが、そうであれば、これほど、読解に苦労している生徒はいないでしょう。

 

 数学でも、公式を正確に読めない生徒がいます。こうして、公式がしっかり認知されているかどうかは、音読をして貰うと分かります。音読は、中学生頃まではしっかり行うことを徹底するべきだと思っています。

 

 そして、数学の証明問題ですが、この一見面倒くさそうな学習も、何度も音読をすることで、証明していく過程が自然と頭に記憶され、問題と答えを書写することで、証明問題で大切な解答までの流れを掴むことができます。

 

 

 音読は低学年から行える基礎学習であり、野球選手が大切にしている、素振りに当たります。亡くなった長嶋茂雄さん、王貞治さん、松井秀喜さんなどなど、野球界で輝かしい成績を収めた選手たちは皆、この基本である素振りを繰り返し行ってきました。

 

 声を出す学習、音読は、基礎学習のホームラン王です。(昔聴いた、知る人ぞ知るキャッチコピーです)

 

夢を持つことの意味 

■学習も、運動も、行動も、イメージ力が大切

 今日もご訪問頂きありがとうございます。

 

 私たちは、知らず知らずの内に、日々、様々な予測を立てています。社会人になると、仕事の段取りができる人を優秀と言い、仕事の出来を左右したりします。物事、イメージしてことに臨めるかはとても重要なことで、具体的なイメージが出来なければ、行き当たりばったりの内容にになります。

 

 イメージ、予測、想像は、人間の脳にしかない機能とも言われ、そこに知性を感じるとまで言われています。自分の未来を予測する、それは、夢であったり、希望であったり、憧れであったりします。そこには、まだ見えないけれど、そこに繋がる道も見えてきたりします。

 

 子どもと夢を語る、子どもと10年後をイメージする、こうした想像は、どこかで「実現可能」になったりします。親子で、夢を語り合う、そこには、自分の想像する未来をことばに換えた会話空間が広がります。

 

 たぶん、「夢を持つ」という意味はそんなところにあるのだと思います。イメージできないものは、なかなか実現も難しいでしょう。しかし、夢を持つ、ここから、数年後の自分を予測することで、見えてくる具体的なイメージ、それが子どもにとって「目標」に変わるのでしょう。

 

 自転車の補助輪が取れずに悩む幼児、友達が補助輪を取り載っている姿を見て、自分も補助輪なしで載りたいと思うようになります。すると、その子の頭の中では、補助輪なしで乗りたいという願望が、実際に補助輪なしで載っている自分の姿を想像するようになります。多くの子が経験するイメージトレーニングと言う経験です。

 

 このイメージトレーニングの目標が大切なのです。例えば、水泳大会で一位になりたいと願う時、イメージするシーンがとても大切になります。そこは、ゴールでタッチする場面ではなく、その先の表彰式になります。時折見かける、ゴール寸前で負ける選手がいます。これも、イメージの場面がゴールになっています。すると、勝ちを意識したとたん、油断が生じたり、パフォーマンスが低下し後ろから迫る人に抜かれるということがあります。イメージにも、その内容が重要であるという教訓です。

 

 学習面では、自分自身の未来予測をすることから始まります。ですから、親子の会話は、そのイメージを言語化できるので、予測が、言葉の力で加速したりします。そして、この予測は、時として自分自身の自制心と深く関りを持つことがあります。

 

 「ちょっとした弾み」よくあることです。でも社会的にも悪いことをする、その手前でイメージや、その先の予測ができる子は、思い留まれるのです。想像力を働かせることで、自分の近未来を予測できる。それが子どもを救う場面があります。

 

 社会人で重要な仕事の段取りと同じように、学習面でも段取りよく進めると、有限な時間を有効に使えることができます。この時間活用も想像性、イメージ力で大きな違いを見せてくれます。時間の使い方が下手な人ほど、イメージ力、想像力で時間の無駄遣いをしています。

 

 子どもも、大人も、もっとイメージ力、想像力を持って、未来予測機能をしっかり使った方がよさそうです。私は、自分でも驚くのですが、73歳になりましたが、それでも、今も教育の明るい未来予測をしています。