頭の良い子の特徴「耳が良い」 | 「衣食住育学」石川幸夫のブログ

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教育畑40数年、猫好き、子ども好き、音楽好き!幼児、小学生の算数指導用に、水道方式のタイルを独自開発。教育評論家・教育研究家・子育て評論家としても活躍中です。

「音を聞き分ける!、声を聞き分ける!」

■頭のよい子のベースにある力

 語学に堪能している人の特徴に、『耳の良さ』、つまり、聴覚の発達があります。これは、スポーツにも当てはまります。『音』に対する情報から次の動きに移すなど、反射神経にも影響を与えるほど、普段当たり前に聞こえてくる声や、音は、その音の対する判断力で人の能力差が生まれます。一流スポーツ選手の多くは、鋭い聴覚神経を持っています。

 

 私たちが持つ感覚は、ご存じの通り、味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚の5つです。ここに平衡感覚である前庭感覚、そして、全身に張り巡らされている固有感覚が加わります。この感覚に優れた人がそれぞれの専門分野で活躍しているのですが、更に、それぞれが互いに結びつくことで、更に優れた能力となります。

 

 これら感覚機能は、脳の発達と共に、その機能を高めていきます。優れたコンピュータが、あらゆる情報を得て単純から複雑へと情報処理を行っていく過程は、正に、こうした人の脳の発達をモデルにしているようです。脳の発達が一定の基準となる時期が6歳頃です。脳内で作られていく革新系細胞による回路は、3歳頃を過ぎてから、大人の脳へとステップアップしていくのですが、その機能アップのため、『アポトーシス』という余分な神経回路の消去が行われていきます。各感覚神経は、この時期にそのベースとなる機能が備わっていきます。

 

 聴覚機能の中で、最も重要なのが「言語刺激」による語感の発達と、語彙数という、言葉による記憶力の発達です。言語にしても音楽にしても、幼児期の『音』に対する刺激はとても重要で、一方で「語感」、もう一方で「音感」となり、更に高度な次元で捉えると『絶対語感』『絶対音感』とその質を高めていきます。英語等の聞き取りも、こうした一連の「耳を鍛える」という、積極的な指導や刺激があってできるのだと思います。

 

 話を始める頃の脳は、一定の語彙数を確保しています。次に、その言葉を会話として使うことで、更に次の言葉を獲得していきます。聞く側から話す側に回るのが、3,4歳以降なのです。その為、親が行うことは、我が子の言葉を「聞く」ということになります。言葉は、使うことで、語彙が定着し、次の言葉を獲得するベースができていきます。また、”子どもの話を真剣に聞く”という行為は、『親のできる知的行為』の一つです。話しを聞いてくれる環境は、その後の、”人の話を聞く”という、人間関係の基本を築き上げていきます。人の話を聞かず、自分勝手なことしか言えない人が多くなってきているのは、幼少期に、自分の話を聞いてくれる環境ではなかったと推測されるほどです。情報は、人の話からもたらされます。人の考え方、気持ちを知ることは高い語彙力と、人の話を聞くという環境にあったことを示しています。

 

 人の話を聞くことができる、それは、人の話を理解する言語力を持っていることになります。学校などの授業で集中できない子どもの多くは、この語彙力に代表される言語力に劣ると考えられます。集中力とは、言語力と人の話を聞くと言うコミュニケーション能力が必要だということがわかります。

 

 子どもの学習活動では、視覚情報がとても多くなってきました。視覚情報は、聴覚情報よりも受ける情報量が多いため注目を集めるのですが、読む事、書くこ、聞く事の、学習3要素を忘れてはいけません。学習面で、聞く事のできない状態は、かなり深刻です。先生の説明を聞き取れないこの多くは、やはり語彙数が少なく、使われている言葉の意味が理解出来ないことが多く、これは、英語を話せない人が、英語の講義を聴くことに似ています。年長さんの平均語彙数は2500語だと言われています。多い子では、5000語近くになります。この差はとても大きく、特に小学校に上がると、語彙数の少ない子は、先生の話す言葉で躓きます。幼稚園や保育園の先生と比べ、話す言葉がある意味、学校的で難しく感じるのです。ここで、会話をよくする家庭、本の読み聞かせをする家庭の子は、語彙力が豊かです。音楽面で耳を鍛えている子も、聴くという訓練ができているので、学校の授業などでは有利になります。

 

 これからは、英語教育もより活発に行われます。今まで以上に『聴く耳を持つ』ことが要求されてくるでしょう。幼い頃から、将来の状況を考え、お子さんの耳を鍛えられては如何でしょう。鍛えると言っても、読み聞かせ、会話、音楽を聴くなど、聞く事を意識した子育てです。ねじりはちまきをして鍛えるというイメージではありません