ラーメン屋春ちゃん「ファイヤーラーメン」
カウンターに腰かけた十数人が一斉に注目する。
店外には行列が出来ていて、窓越しにやはり固唾を飲んで見守っている。
茹であがった麺をラーメン丼に移し、手ナベの煮えたぎったスープを注ぎ、
ライターの火を近づけると、途端にブアーと真っ赤な炎が舞い上がった。
居並ぶ客からは一斉に「 おうー」と歓声が上がる。
炎は天井を少しナメた所で止まり、万が一の為に消火器を構えていた女房は、
ほっと、一安心。
三十秒間程も燃え上がっていた炎も やっと、下火になり、
それでもまだチロチロと燃えているのを、かまわず客の前に出す。
「ファイヤーラーメン、お待ちっ! 熱いから気をつけてよっ」
周りの客は 一斉に覗き込み、まだチロチロ燃えているラーメンを観て再び
「おうー」と感嘆の声を上げる。
つづく
中国の秘境に伝わる、アルコール度数80 度と言う古酒を使い、
様々な調味料をブレンドした スープに最後に火をつけるという
マジックショーまがいの(ファイヤーラーメン) は、
そのパフォーマンスと味の良さでたちまち大評判となった。
マスコミが一斉に飛びつく頃には、もう連日、人の波。
「どうしよう、もう後十人分しかスープが残ってないわ」
と、女房が 悲鳴を上げる。
外にはまだまだ、長蛇の行列が続いている。
「ああ、困った、困った。 どうしよう、どうしよう」
と言うところで、冷や汗びっしょり 目が覚めた。
これが私の 今年の初夢である。
新年明けまして おめでとう御座います。 今年も宜しくお願いいたします。
( 了 )