ナンバー42 ラーメン屋春ちゃん 「 ファイヤーラーメン」 | 堀切光男のエッセイ畑

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ラーメン屋春ちゃん「ファイヤーラーメン」


カウンターに腰かけた十数人が一斉に注目する。


店外には行列が出来ていて、窓越しにやはり固唾を飲んで見守っている。


茹であがった麺をラーメン丼に移し、手ナベの煮えたぎったスープを注ぎ、


ライターの火を近づけると、途端にブアーと真っ赤な炎が舞い上がった。


居並ぶ客からは一斉に「 おうー」と歓声が上がる。


炎は天井を少しナメた所で止まり、万が一の為に消火器を構えていた女房は、


ほっと、一安心。


三十秒間程も燃え上がっていた炎も やっと、下火になり、


それでもまだチロチロと燃えているのを、かまわず客の前に出す。


「ファイヤーラーメン、お待ちっ! 熱いから気をつけてよっ」


周りの客は 一斉に覗き込み、まだチロチロ燃えているラーメンを観て再び


「おうー」と感嘆の声を上げる。


つづく


中国の秘境に伝わる、アルコール度数80 度と言う古酒を使い、


様々な調味料をブレンドした スープに最後に火をつけるという


マジックショーまがいの(ファイヤーラーメン) は、


そのパフォーマンスと味の良さでたちまち大評判となった。


マスコミが一斉に飛びつく頃には、もう連日、人の波。


「どうしよう、もう後十人分しかスープが残ってないわ」


と、女房が 悲鳴を上げる。


外にはまだまだ、長蛇の行列が続いている。


「ああ、困った、困った。 どうしよう、どうしよう」


と言うところで、冷や汗びっしょり 目が覚めた。


これが私の 今年の初夢である。




新年明けまして おめでとう御座います。 今年も宜しくお願いいたします。


( 了 )