ナンバー26 S F 的小話「予知能力 」 | 堀切光男のエッセイ畑

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S F 的 小話 「予知能力」 二千一年 ネット マガジンに掲載


 

ラーメン屋の K さんの店が最近、評判になっているというので行ってみた。

 

「ラーメンと 餃子」

 

オーダーすると、K さん、にやっと笑って、ものの十秒 も経たない 内に

 

注文した 料理 を 出してきて びっくり。

 

他の客にもすべてこんな調子で出てくるので、一様に驚きの声を上げる。

 

それでいてギョーザが冷めていたり、ラーメンがのびている訳ではない。

 

作り置きしていた物でない事はあきらかだ。

 

皆、不思議がって料理の味よりこちらの方が評判になっている様だ。


 

こっそり K さんに訊いてみると 絶対秘密だぞと念を押してしゃべりだした。

 

「オレ、 昔から超能力に興味があって、ずっと研究していたんだ。

 

それで 最近 やっと一時間 程 先の事が予知できる様になったのさ」

 

「それはすごい、馬券を買えば大儲けだ」

 

「ところが 仕事のラーメン屋の事しか予知 できないんだよ。

 

そこで、この方法を思いついた。 お陰で 評判になって売り上げ倍増さ」


 

しばらく経って 又、K さんの店に様子を見に 行った。

 

さぞや繁盛しているだろうと思っていたら、

 

どうした訳か 閑古鳥が 鳴いていた。 訳を 訊いてみると

 

深いため息をつきながら K さんは言った。

 

「もっと、もっと 驚かそうと、 つい調子にのってしまった。

 

客が 注文する前に出すようにしたら、誰も来なくなってしまった」


 

客は心の中を読まれるんじゃないかと寄り付かなく なったのだった。

 

( 了 )