S F 的 小話 「予知能力」 二千一年 ネット マガジンに掲載
ラーメン屋の K さんの店が最近、評判になっているというので行ってみた。
「ラーメンと 餃子」
オーダーすると、K さん、にやっと笑って、ものの十秒 も経たない 内に
注文した 料理 を 出してきて びっくり。
他の客にもすべてこんな調子で出てくるので、一様に驚きの声を上げる。
それでいてギョーザが冷めていたり、ラーメンがのびている訳ではない。
作り置きしていた物でない事はあきらかだ。
皆、不思議がって料理の味よりこちらの方が評判になっている様だ。
こっそり K さんに訊いてみると 絶対秘密だぞと念を押してしゃべりだした。
「オレ、 昔から超能力に興味があって、ずっと研究していたんだ。
それで 最近 やっと一時間 程 先の事が予知できる様になったのさ」
「それはすごい、馬券を買えば大儲けだ」
「ところが 仕事のラーメン屋の事しか予知 できないんだよ。
そこで、この方法を思いついた。 お陰で 評判になって売り上げ倍増さ」
しばらく経って 又、K さんの店に様子を見に 行った。
さぞや繁盛しているだろうと思っていたら、
どうした訳か 閑古鳥が 鳴いていた。 訳を 訊いてみると
深いため息をつきながら K さんは言った。
「もっと、もっと 驚かそうと、 つい調子にのってしまった。
客が 注文する前に出すようにしたら、誰も来なくなってしまった」
客は心の中を読まれるんじゃないかと寄り付かなく なったのだった。
( 了 )