ナンバー24 S F 的 小話「グルメ星人の偵察隊」 | 堀切光男のエッセイ畑

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S F 的小話「グルメ星人 の偵察隊」 二千年 二月 ネット マガジン掲載

 

銀河系 のはずれに,グルメ星という 星があった。

 

その星を飛び立った宇宙船が、もうすぐ地球に到着するところだった。

 

グルメ星人は地球人とほとんど変わらなかったが、文明は地球より

 

千年以上も発達していた。 宇宙船には 五人のグルメ星人がのっていた。

 

「もうすぐ地球だぞ。 我々偵察隊には,地球が植民地として 適しているかどうか

 

調べる大切な任務がある。 なにしろグルメ星人は皆グルメだから、

 

旨いものを食べたがっている。

 

地球からのテレビ電波を傍受してみたところでは、地球人は 結構 皆、

 

旨そうなものを 食っている。

 

なかでもラーメンと 呼ばれる食べ物は グルメ星人みんなが関心を示した。

 

このラーメンという食べ物が 旨いものだと認められれば、、直ちに

 

地球を征服して、我われの植民地として 支配する予定だ。

 

なーに、地球の科学力など 我々からしてみれば、赤子の足をくすぐるよりも

 

簡単だ (グルメ 星には そんなことわざ があるらしい)

 

よーし、では これから あのラーメン屋に 突入するっ」

 

(つづく )

 

ちょうど その頃,閉店後の店内ではラーメン屋の春ちゃんが

 

新しいラーメンを創り出そうと、試行錯誤の 真っ最中であった。

 

思い切って斬新な味をと、味噌に、ソースに マヨネーズ、

 

ナットウに塩辛に クサヤの干物。

 

とにかく なんでもかんでも放り込んで ラーメンを作ると 一口食べてみた。

 

途端に

 

「うえー、はっ、はきそうだー」とトイレに駆け込んだ。


 

入れ替わりにグルメ星人たちが 、どかどかと入って来た。

 

「おいっ、見ろよ 出来立てのラーメンがあるじゃあないか。 丁度いい

 

どんなものなのか、味見をしてみよう」

 

一口食べたグルメ星人たちは いっせいに

 

「ウエー、なんだこれは。 ひどい、ひどすぎる。 地球人は

 

こんな ひどいものを食べているのか。 これではとても植民地にする事は

 

できない。 ほかの 星を 当たろう」

 

と、そそくさと 飛び去って行ったのであった。

 

(了 )