再来夢…命尽 | 腹回り鏡餅に浮輪ネガポジ部屋

腹回り鏡餅に浮輪ネガポジ部屋

光と闇は表裏一体。
2017年末に 脳梗塞で倒れ 糖尿病も併発、軽い右側麻痺、言葉がたどたどしい。
LDH系、特に三代目JSB、特に登坂広臣(臣ちゃ)好き♡♡♡
斎藤工(工ちゃん)好き♡♡♡
《いいね》は生存確認、内容に関わらずしてます。
(記事に無関係、無神経な※ 無言削除)


ダーリンは急遽(キュウキョ)仕事を休めることになり、2人で病院へ。

医者から死の宣告がされていたせいか、
義父、義姉夫婦、姪2人、私達
その日は珍しく全員が揃っていた。

暫くは皆で雑談などをしていたが、症状が落ち着いていたので
義姉と姪2人は、入院費の支払いや売店へ
義父は、喫茶店へ
と、ばらけていった。

病室には
ダーリン、私、義兄、の3人が残っていた。

そこへ看護師が来て、いつものよに体の向きを変えた。

すると…。
少ししたらなんだか義母の様子がおかしくなった。

あれだけ微動だにしなかった人が

「はぁーっ、はぁーっ…」

離れていても、背を向けていても、気付くほどに呼吸が荒くなり肩が大きく上下する。

最近にはなかったくらい目を大きく見開き、苦しさが伝わってくる。

『お袋っ!!』

《母ちゃんっ!?》

急いで看護師を呼ぶ。

体の向きを前と同じにしてもらうと、すぐに落ち着いた。

しかし。
どうも顔色が悪い。
そして再び、様子がおかしくなった。

何をやっているのか、義姉達はまだ戻ってこない。

「探してくるっ!!」

義兄がそう言って、病室を飛び出して行く。

『お袋っ!!お袋っ!!』

《母ちゃんっ!!》


嫌だっ!!

母ちゃんっ!!

まだ 死なないでっ!!

まだ 沢山話したいことあったのにっ。

子どもだって…
孫だって抱かせてあげたかったのにっ。


「はっ……………はっ……………」

そんなことを考えている間にも、義母の呼吸はどんどん浅く、短くなってゆく。

呼吸と呼吸の間隔が、長く、長くなってゆく。

その呼吸が…

小さくなり…

途絶える…


その瞬間。

「お母さんっ!!」

「お婆ちゃんっ!!」

皆が一斉に病室に飛び込んできた。

「お母さんっ!!いやぁっ!!死んじゃ嫌だぁっ!!」

「お婆ちゃんっ!!嫌だぁ、お婆ちゃんっ!!」

「おぃっ!!」

義姉も、姪2人も、義父も、
それぞれが
それぞれの
その思いを口々に叫んでいる。

「ねぇっ!!やだぁっ!!目を開けてよぉっ!!」




母ちゃんは



もう



それには応えられなかった…。




「いやーっ!!お婆ちゃんっ!!!!!いやーーーっ!!!」

「おーきてっ!!お婆ちゃんっ!!起きてっ!!死んじゃいやーーーっ!!!」

気が狂いそうなくらい取り乱す姪2人。

『お婆ちゃん、いっぱい頑張っただろっ。もぉ、ゆっくり眠らせてやろっ。なっ。』

そう言って、姪2人を抱き寄せるダーリン。

そのダーリンの頬も涙で濡れていた。

段々叫び声はなくなり

部屋には

ただただ、皆の嗚咽(オエツ)が響き渡っていた。

あのショッキングな出来事から3日目、
入院してちょうど1ヶ月のことだった。


壮絶な

そして

静かな最期だった…。


義母は本当によく頑張ってくれた。

辛かっただろに…

発狂したかったろに…

頭が痛いとか
足が痛いとか
そういう体の痛みなどは口にしたが、病気に対する恨み言などは、入院してからは一度も口にしたことがなかった。

人はこんな風に悩み、苦しみ、もがき…

それでも

しっかり自分の足で歩いてゆかねばならぬ…

最期まで生き抜かねばならぬ…

そんなことを

そんな人間の生き様を

まざまざと見せ付けられた気がする。



母ちゃん。

ありがとぉ。

本当にありがとぉ。

いっぱい頑張ったね。

お疲れ様。

母ちゃんの頑張りは

母ちゃんの優しさは

母ちゃんの沢山の思い出達は

皆の心に刻まれ

決して忘れられることはないよ…



義母が亡くなって10分ほど経った時、やっとお医者さんが来た。

あの、ドラマとかでよく見る

【〇時〇分。ご臨終です。】

ッてやつだ。

泣きはらしてぼんやりした視界でそれを眺めながら

((10分以上待たされたから、あれは正確じゃないや…))

なんて妙に冷静な突っ込みをしていた。

いや、実際。

人が亡くなる時
あるいは
亡くなった時

医者はすぐに飛んできて最期に立ち会い、確認するのが当たり前なんだと思っていた。

ところがこの時はそうじゃなかった。

どの病院もこうなのか。

この病院が例外なのか。

ひとしきり泣き終えた私達が、悲しみの中でも

【先生、遅いねぇ。】

なんて冷静に言えるくらい、本当にその時間が長く感じた。

それが終わると、やっと義母の体につけられていた色んな器具などが取り外されてゆく。

その間、部屋の外に追い出されていた私達が病室に戻ると、義母が少しベッドを起こした状態で眠っていた。

お気に入りの服を着て、うっすらと化粧をしたその顔は、本当に眠っているようだった。

【お気に入りの服】というのは、着替えさせることが出来ると聞いた義姉が、義母の身支度をしている間に取りに行ったのだ。

鼻に詰められた綿がその死を意識させるくらいで、あれほどパンッパンに浮腫(ムク)んでいた顔も少し小さくなっていて、本当に、死んだなんて信じられないくらいだった。