再来夢…負考 | 腹回り鏡餅に浮輪ネガポジ部屋

腹回り鏡餅に浮輪ネガポジ部屋

光と闇は表裏一体。
2017年末に 脳梗塞で倒れ 糖尿病も併発、軽い右側麻痺、言葉がたどたどしい。
LDH系、特に三代目JSB、特に登坂広臣(臣ちゃ)好き♡♡♡
斎藤工(工ちゃん)好き♡♡♡
《いいね》は生存確認、内容に関わらずしてます。
(記事に無関係、無神経な※ 無言削除)


真顔といえば…。

ある日。
いつものように話しをしていたら、急に、非常に真剣な顔でとんでもないことを言い出した。

「私、退院したらお父さんと別れるからっ!」

それは本当に唐突だった。
普通に、にこやかに話しをしていた義母。
ふと、話しが途切れたあと、急に言い出したのだ。
なんの脈略も前触れもなく。

《え。別れるって…離婚てことっ!?》

「そーやっ。」

力強く、ハッキリと答える。

正直、私は嫌だった。
離婚がどうこうではなく、そういう【負のエナジー】に繋がるようなことを考えて欲しくなかったのだ。

本当に、どうしても別れたいというのならそれも仕方ないことだが、それを考えるのは【今】でない方が良い、と思えたのだ。

実際。
この時の、憎々しげに語る義母の顔は、お世辞にも良い顔とは言えず。
ネガティブなオーラに満ち満ちて、とてつもなく醜悪だった。

《んー。まぁ、どぉしても嫌ってのを無理に止めよぉとは思わないけど…。でもね、母ちゃん。喧嘩相手が…文句を言える相手がいなくなるのって、精神的に意外とキツいと思うよ。》

「そぉやろか…。」

《うん…。文句言ったりすんのって、結構ストレス発散になってたりすると思うよ。最初は清々した、て思うかもしれないけど、今までいて当たり前だった喧嘩相手がいなくなるのって、淋しいもんじゃないかなぁ。》

「そぉか…。そぉやねぇ…。チビちゃんがそぉ言うなら…もぉチョッと考えてみるわ。」

《そぉだよ。別れるのはいつでも出来るしね。それに今までは駄目だったかもしんないけど、今は、結構頑張ってくれてるんじゃなぃ?》

「うーん…そぉやねぇ…。」

もちろんこの時は、私達には見えていないところで、義父がどんな生活態度だったかなんて知る由もなかった。

なんとかこの話しもおさまると、今度は義姉について愚痴りだした。

前にも述べたが。

この頃の義母は、とにかく人の悪口、不平不満、愚痴、などなど、マイナスの言葉ばかり吐き出していた。
後から思えば、癌になってから徐々に変わり始め、悪化してからは考え方がガラッと変わってしまった。

脳を圧迫していた水のせいなのか、それとも、癌細胞が何らかのかたちで作用したのかは定かでないが、それはきっと病気のせいに違いない・・・
ダーリンも私も、そうとしか思えなかった。

なんせ義母は、義姉とその長女が大好きな人。
いつでも2人が自慢だったし、何があっても悪口なんて一度も言ったことがなかった。

それが、だ。

「あの子が色々やってくれるのは有り難いんだけどね…。愚痴を言うのよ。」

《え。愚痴言うの?》

「うん。それは良いんだけど、私もこんな状態でしょ?しんどいのよっ。」

《あー。そっかぁー。》

「あの子の気持ちも解るんだけど…あんまりクドクド言われると、聞いてるコッチも疲れちゃうのよ。」

((陰で、母ちゃんに色々愚痴ってたんだ…))

義姉は普段、あまりグチグチ言う人ではないと思っていたので、意外だった。
特にこの場合、愚痴というより誰かの悪口だったようで。

しかも義姉大事で、義姉大好きだった義母が、その、義姉の愚痴を私に言うだなんて。

ほんの些細なことだったが、驚き、変な話し、嬉しかった。

病気が言わせている…
そう思いつつも、義姉には言えないこと、というか、義姉のことを私に言ってくれた…
そんな妙な感情だった。

そんな中。

また義母が、面白エピソードを暴露してくれた。

それはまだ入院する前のこと。

ある日。
いつものように義姉は、1人で病院へ連れていった。
義父は、なんのかんの言って、何もしてくれなかったようだ。
(前にも述べたが義母を見るのが辛いから逃げてたのだと思われる)

病院から戻ってきた義姉は、義母をおんぶして階段に向かう。
(アパートの2階に部屋があった)

さぁ階段を上りましょう、と、クルッと体の向きを変えた、その時っ。

ぐぉぁーんッ!!

鈍く、大きな音が響きわたった。

それは。

階段の鉄の手すりに、義母の頭が叩きつけられた音だった。

「ほんっとに痛かったわよぉっ!!」

《そりゃ痛いわっ。え、大丈夫だったの?》

「たんこぶが出来てたわ。」

《げっ。しかし、なぁんで頭、打っちゃったんだろ?》

「なんかね、{{ごめん、ごめんっ。お母さんの頭、計算入れるの忘れてたっ!!}}て言うのよ。」

《へっ!?計算入れるの忘れてたぁっ!?》

「ほぉや。」

どうやら。
背中におんぶされていた義母は、義姉より、頭ひとつ分くらい頭が出てたらしく。

{{早くお母さんを部屋に連れて行かなきゃ}}

と思って向きを変える為にクルッと回った時、自分の頭の分しか計算に入れていなかったらしく。

その頭よりも飛び出したかんじの義母の頭は、しこたま打ちつけられてしまった、という訳である。

「あんた、笑い事じゃないってッ。」

そう言われた私はまた、腹を抱えて涙を流しながら笑っていた。

義母の簡単な説明でも、その時の光景が手に取るように解る。

《だ、だって母ちゃんっ。母ちゃんの頭の分、計算するの忘れてたてっ!!ごめん、ほんっとにごめん。でも…笑えるぅーっ。》

最初は、やや不満げな顔で話していた義母も、段々笑顔になっていく。

私があまりにも楽しそうに笑っていたので、つい、つられてしまったのだろう。

「ほんっとにあの子はねぇ…。」

《ねぇっ。ひとの頭だと思ってねぇっ。》

「ほんとや。」

終いにゃもちろん、2人で大爆笑。

《よーかったねぇ、母ちゃん。頭爆発しなくてっ。》

「ほんとやねぇ。」

それ以来。
その階段を通る度に、その時のことを思い出し、つい笑ってしまうようになった。


また別の日に話してくれたこと。

これもまだ自宅療養中だった時の話し。

1人でお風呂に入る力もなくなっていた義母。
いつも義姉がやってあげていた。

いつもは優しい感じの義姉だが、どうもお風呂の時はそうでもなかったようで。
(義母的には)

体を洗う時は、力を入れられない義母の肩をガシッと掴み、ゴッシゴッシと洗う。

「あれねぇ、ほんっとに痛いのよ。でも一生懸命やってくれてるから、そんなこと言えないし。」

一番辛かったのは、洗顔。

「お母さん、いい?」

と言うが早いか、あっという間に顔中が、ワシャワシャと石けんだらけになる。

そして

「お母さん、いくよッ。」

と言い終わらぬうちに、シャワーが顔を目掛けて飛んでくる。

「いくよ、も何も、コッチが準備をする間もなくかけるんだもの。息が出来なくて苦しくってっ。もぉっ!!チィービちゃんっ!!笑い事じゃないのっ。」

そう。

私はまたまた、爆笑していた。

同様に、義母の顔に段々と笑みが広がってゆく。