電話の内容は…突然の異動の話しだった。
ダーリンがE店。
私がB店。
お店の店長とママを、同時に異動、だと。
それも最初は、B店のオババがC店に異動だったが、すぐにオババの異動はなし、と。
(私を監視する為か)
そして後から、そこら辺の裏事情が解った。
病欠と聞いていた、ボケとミニラ。
どうやら本当は、反乱だったらしい。
【店長のやり方に、ついていけない】と、2人ともほざいたらしい。
つまり。
私達2人は、とばされた訳だ。
コチラの話しは一切聞かずに、だ。
会社は私達よりも、仕事もロクに出来ない、babaaと若造をとった、ということだ。
((なんじゃそら#))
確かに、ダーリンは仕事が出来る分、厳しい面もあるかもしれない。
しかし、だ。
何度も同じ間違いを繰り返す、バイトより使えない社員。
そう。
バイトの子が、ちゃんと理解出来てやれることが、全く出来ないその2人より、私達を切り捨てた訳だ。
冗談じゃない。
一気にアホらしくなった。
辞めよう。
幸か不幸か、たまたまその翌週が給料日だった。
それで翌週給料を貰ったら、ブッチすることに。
言い出したのは私。
ダーリンか私のドチラか一方だけの移動なら、私達が店を私物化したとかなら、とんでもないトラブルを起こしたというなら、まだ解る。
私達には一切話しを聞くこともなく、アチラの言うことを鵜呑みにしたうえに、この仕打ち。
こんなやり方をする、そんな会社になんの未練もなかった。
そしてこの日。
コース料理が2組同時スタートだったのだが、ボケのやる筈だった、揚げ物・炒め物・鍋の用意が全くやってなかった。
奴は、最初からブッチするつもりで、わざとやっていなかったのだ。
ダーリンは1人で、串打ち、刺身etc.、全て準備。
なんの支障もなく、コース料理は終了した。
お店は、にぃやんの彼女のカレンちゃんが助っ人に来てくれ、3人で回した。
社長も、流石に2人じゃ気の毒だと思ったのか。
(この日は、バイトもいなかった)
しかし。
私達は、完全に切れてしまった。
コース料理が終わると、常連さん達に電話。
事情を話すと、皆、来てくれた。
幸い、コース料理の後はパッタリとお客さまが来ず。
生ビールもピッチャー(でっかい入れ物)でガンガン出し、お座敷の一角で、皆で酒盛り。
おつまみも、ダーリンが適当に作って出しまくり。
それはそれはもう、ドンチャン騒ぎ。
PM11時過ぎにお客さまがいらっしゃったけど
《従業員、皆アッチで飲んでるから、用があったら声掛けてね♪》
と言って、最初のオーダーが終わると、またドンチャン騒ぎ。
AM1時には看板も消して、やりたい放題(笑)。
ダーリンも、しこたま飲んで、ほぼ泥酔状態。
翌日。
なんとダーリン、ずる休みをした。
風邪で体調不良、と。
もちろん、前日にあれほど飲んだというのに、二日酔いもなく、本人はピンピンしていた。
ダーリンはそれこそ、40度の熱があっても、仕事だけはキッチリやるタイプ。
今までも、どんなに体調が悪くても会社を休んだことはなかった。
そのダーリンが、だ。
少なくとも、私が知り合ってからは初めてのおサボりだった。
翌日はまともに出勤したものの、そのまた翌日はAM1時で早退。
仕事を辞めよう、と言い出したのは私だったが、ダーリン自身、完璧にやる気が失せていた。
一方。
私も、異動初日は早退。
本当は私も欠勤したかったのだが、先にダーリンに休まれてしまったので(苦笑;)、流石に、初日から2人とも休むのはまずいだろ、と思ったのだ。
最悪、最後までやる覚悟だったが、途中、運良くオーチャンが来たので、送って貰った。
(ずっと、体調が悪いフリをしていて良かった(笑))
オーチャンはこの時、既に結婚の為に退職してい た。
B店の店長をしていて私を気に入ってくれていたエイゴ同様、相手側に水商売であることを反対されたので、転職していたのだ。
そしてこの日は、たまたま遊びに来ていた。
翌日からは最後まで居たが、ずーっと洗い物をしたりして、本当に適当にやっていた。
この時、初めて仕事をしたシンサン。
私が近くでずっと洗い物をしていたからか、色々話しかけてくれた。
まぁ、ほとんどがオババや他の人に対する愚痴だったが。
私のことは、にぃやんから色々聞いていたのと、実際、私の仕事ぶりを見て気に入ってくれた様子。
すぐに辞めてしまうつもりではあったが、やはり正当に見てくれる存在は有り難かった。
早退した日の翌日は、にぃやんが迎えに来てくれたのだが、その車中でも
「シンサン、お前さんのこと、かなりお気に入りみたいだぞ。」
と言われた。
ダーリンに話したら、にぃやんに聞いていたらしく、知っていた。
それに、シンサンと仕事をしたことがあったらしく、シンサンのことも知っていた。
その数日後。
その日で辞めるつもりだった私は、ちゃんとシンサンに挨拶をしたくて、早めに出勤した。
しかし、こんな時に限ってオババが妙に早くご出勤。
挨拶する機会を失ってしまった。
にぃやんが気を利かせてくれ、ダーリンが電話でシンサンに事情を説明してくれたようだった。
仕事が終わる前にチャンスがあったので
《色々すいませんでした。》
と言うと
「せっかく仲良くなったのにねぇ。」
と、凄く残念そうに言ってくれた。
思わず涙が出そうだった。