刑事塾 詐欺、採用面接、営業で騙されない、ウソや人間心理の見抜き方講座 -12ページ目

刑事塾 詐欺、採用面接、営業で騙されない、ウソや人間心理の見抜き方講座

刑事塾は刑事力を学ぶ場です。元刑事が刑事のスキルであるウソや人間心理の見抜き方を教えます。

 

 

 

「小さな巨人」を見た元刑事の解説~第二話、三話

 

4月にスタートしたTBSドラマ日曜劇場「小さな巨人」

このドラマは警視庁捜査第一課を舞台にして、ある出来事で所轄に飛ばされた香坂真一郎刑事(長谷川博己)が小野田義信警視庁捜査一課長(香川照之)に嚙みついて本来の刑事としての反乱を起こすドラマです。

 

第二話、三話を見た解説です。

 

その1  捜査一課と捜査二課は水と油なのか?

 

これはそのとおりです(笑)

私は捜査二課に長く席を置いていましたが捜査一課との付き合いはまずありませんでした。捜査一課はいわゆる発生ものを扱うのでスピードが勝負です。みんなでわーと現場に行って犯人を捕まえ、わーと解決するというイメージ。一方の捜査二課は贈収賄事件や選挙違反など自分らの足でネタを探してじっくり内偵をして捕まえるというイメージですから捜査の手法も違うわけです。

 

また捜査一課は切った張ったの単純な事件が多いのですが捜査二課は銀行捜査をしたり、帳簿を見たり、複雑で難しい事件が多いのです。そんな意味でも水が合わないということになり水と油は間違いではありませんね。

 

その2  香坂真一郎刑事(長谷川博己)が独自捜査しているのがあり得ない。

 

香坂刑事の階級は警部です。あの署では刑事課長(千葉県では刑事課長。警視庁だと課長代理)の立場です。所轄は雑多な事件を沢山抱えています。特に強盗、傷害などを担当する強行係、詐欺、横領を担当する知能係、泥棒を担当する盗犯、暴力団犯罪を担当する暴力係などを束ねており、日頃はバタバタしています。

 

変死があれば刑事課長も現場に行く時もあるし、オレオレ詐欺で犯人をおびき出して逮捕する時には現場で指揮する時もあります。とてもじゃありませんが本部のあの事件に時間を割いている暇はないと思います。あの状況だと所轄本来の事件に全く対応していないということになってしまいますしね。

 

ですからドラマでは香坂刑事本人が連日のようにあっちこっちに出かけていますが絶対にありえないです(笑)

刑事課長は黙って机に座り、何か事件があれば指揮を執るという立場なのです。

 

その3  副署長が香坂刑事にどやされるのもあり得ない。

 

副署長が証拠品のDVDを勝手に持ち出すのもあり得ないし、それを見つかって部下の香坂刑事にどやされるのもあり得ません(笑)警察は階級社会ですからどんな理由があっても直属の上司に文句を言うというのは考えられません。

 

あのケースは異常なので許されるかもしれませんが、普通なら絶対飛ばされますね。それだけ厳しい上下関係なのです。あのケースだと署長に直ちに報告するしかないでしょうね。しかし本部に栄転したいから捜査一課に媚びを売るというのもないわけではないと思いますが、証拠品を差し出すというのはあり得ないでしょうね。

 

以上です。また読んでくださいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4月にスタートしたTBSドラマ日曜劇場「小さな巨人」

 

このドラマは警視庁捜査第一課を舞台にして、ある出来事で所轄に飛ばされた香坂真一郎刑事(長谷川博己)が小野田義信警視庁捜査一課長(香川照之)に嚙みついて本来の刑事としての反乱を起こすドラマです。

 

第一話を興味深く見させて頂きました。一言で言うと「おもしろい!」よくできた刑事ドラマだなぁと感心しました。

 

なんせ「刑事あるある」がふんだんに盛り込まれているので現職の刑事からかなり研究したのは間違いないでしょう。

 

ただ実際の現場とはちょっと違うかなーという点もありましたので幾つか解説します。

 

その1  所轄と本部はあんなに仲が悪いのか?

 

これねー、よく聞かれるんですけども仲が悪いということはありません。何故かというと同じ刑事ですし、一緒に仕事をする機会も多いからです。刑事というのは最初から本部に行くことはまずないので所轄からスタートします。その仕事ぶりが認められると本部に栄転するわけです。

 

そして本部で昇任試験に合格するとまた所轄に出ます。そして数年を経てまた本部に戻ります。いわゆるデキる刑事はこの繰り返しなんですね。ですから一生本部と縁のない所轄回りの刑事もいます。つまりこんな方はそれなりの実力というわけです。

 

 このように所轄と本部は行き来するものなので知っている刑事も結構いますし、露骨に喧嘩するということはまずありえないということなんですよね。ただ大事件が発生して本部を受け入れる所轄があまりにも気が利かないと「なにやってんだ、この署は」ということはありますね(笑)

 

その2  所轄の刑事はデキが悪いのか?

 

ドラマを見ると所轄の刑事はデキが悪いように描かれています。所轄が独自捜査をしてミスをすると「所轄黙ってろ!!」みたいなことを言われてましたよね。これは所轄の刑事がすべてデキが悪いのかというとそうではありません。

 

ただ本部は選ばれたものしかいけませんので全体的に見ると本部の刑事の方が優秀だというのは間違いないと思います。本部は所轄を指導する立場でもあるので所轄を下に見ている点はあるとは思いますが、あそこまで露骨に批判したりすることはないかなと思いますね。

 

ちなみに私も所轄➡本部➡所轄➡本部➡所轄と繰り返して階級を上げて異動しておりました。

 

その3  一度失敗したら警察では出世できないのか?

 

主役の香坂真一郎刑事(長谷川博己)は元捜査一課長、現捜査一課長との宴席の後、不審者を職務質問をしてその際に車に傷をつけたということで監察に取調べを受け、その後、所轄に飛ばされました。飲酒した上での職務質問が規律違反だというわけです。これを見た時に「ありがちな話だなぁ」と思いましたね。

 

とにかく警察は建前を気にする組織です。規律違反、法律違反は絶対に許されません。ですからいくらエリートでもそんなミスを犯すと飛ばされます。そしてその後はどうなるのかというと出世ルートを一度外れると元に戻るのはまず無理でしょう。ドラマの場合、所轄という刑事に戻れたからいいですが刑事の世界から飛ばされる場合もあります。つまり交番だったり、パトカーを管轄する地域課などに飛ばされるわけです。こうなるとまず刑事には戻れないでしょうね。

 

ちなみに香坂真一郎刑事(長谷川博己)は元上司である小野田義信警視庁捜査一課長(香川照之)に反抗するような態度、行動をとっていますよね。これは警察社会では絶対にやってはいけませんし、まずやる人はいません。警察は絶対的な階級社会なので上位の階級に反抗したら、特に所属長クラスに反抗したら間違いなく飛ばされます。そして「上司に反抗の癖あり」ということで勤務評定に赤字で書かれ、一生浮かばれない警察人生を歩むことになるでしょうね。

 

 

さて第二話も楽しみです。このドラマについては警察社会を知って頂く上でも参考になると思いますのでまたブログで解説したいと思います。

また読んでくださいね。

 

 

 

 

 

 

 

 先日、世間を賑わしている大阪の学校法人・森友学園の籠池理事長の証人喚問が行われました。皆さんは「籠池理事長はウソを言っているのか??」というのが一番気になる点だと思いますのでその点に焦点を絞って書きたいと思います。

 

 私は参議院と衆議院の証人喚問の様子をYouTubeで見ました。結論から私の個人的な見解を言うと「籠池理事長は全般的に正直に話しているように見える。つまりウソはついていないのではないか。」と思いました。

 

 その根拠について書きます。

 

 それは籠池理事長には全般的にウソのサインが出ていないという点です。

 

 ここで基本的なウソの見抜き方について説明をしておきます。ウソを見抜く場合にはまず質問に対する話し方、しぐさに注目してウソのサインが出ているか?を見ます。質問の内容が相手にとって刺激になるので、ウソをつこうとすると話し方やしぐさに少なからずウソのサインが出るわけです。そしてウソのサインを2つ以上感じた場合にはウソをついている可能性が高いのでその部分は掘り下げて聞いていくというのがウソの見抜き方の手順です。

 

 そこでまず籠池理事長のしぐさのウソのサインについて見てみました。

 

 ウソを上手く答えようとすると緊張します。ですから「汗をかく」「手がふるえる」「顔色が変わる」など自律神経信号が現れます。さらに「顔を触ったり」「腕組みをしたり」「貧乏ゆすりをしたり」「ネクタイを締めなおしたり、眼鏡をかけ直す」などなんとなく落ち着きがなくなり、そわそわして、それがしぐさに出ます。これらが「しぐさのウソのサイン」です。

 

 皆さんも見てわかると思いますが、彼は証人喚問が始まってからも終始堂々としていましたよね。椅子にも深々と座り、質問者の質問に対してそわそわするような場面はありませんでした。どちらかというと顔色ひとつ変えず自信を持って堂々と答えているように見えました。

 

 国会での証人喚問、それも民間人としてあの場に出ることを想像してみてください。日本国中が自分に注目し、リアルタイムでテレビ放映もされています。質問者の国会議員はウソつきであることを前提で質問してきます。見ようによっては公開処刑に近いわけです。まして虚偽の答弁をすれば偽証罪になります。会議室や取調室でウソをつくのと訳が違うわけです。一言でもウソをいえば刑事罰を受けます。そのプレッシャーたるは想像を絶します。

 

 一般の方が町中でパトカーを見たり、警察官を見ると、何も悪いことをしていないのに緊張すると聞きます。つまりこんな場で話をしようと思ったら仮に真実の話をしたとしてもかなりの緊張をするのが普通です。しかし籠池理事長には緊張感というものが感じられませんでした。つまりそれは自信を持って真実を語っているからであると思うのが自然です。

 

次に話し方のウソのサインに注目してみました。

 

 ウソつきは基本的に自分で考えたウソのストーリーがあります。それに対して真実の出来事もあります。当然、ウソをつくと真実の出来事を曲げて話すので両方に矛盾がないように話さないといけません。つまり、正直に自らの記憶で答えるよりも頭を使います。従って通常より考える時間が必要になります。ですから「相手の質問を繰り返したり」「質問の趣旨がわからないふりをしたり」「質問にまともに答えずに誤魔化したり」「逆切れして質問に答えなかったり」・・という時間稼ぎや矛先を変える方法をとらなければなりません。これらは「話し方のウソのサイン」なのです。

 

 籠池理事長に関して言うと全般的にこのような話し方のウソのサインが見られませんでした。質問されると間髪入れずに答えており、帳尻を合わせながら話をしている様子はありませんでした。またわからない点や記憶がない点については「その点は定かではない」「記憶にない」と明確に答え、分かっている事とわからない事を明確に区別していました。更にウソをついている場合には自信がないので「・・・・だと思います。」などと語尾が弱くなることが多いのですが「・・・です。」と断言するような言い方が多々ありました。

 自分の発言に自信がないとこのように明確には答えられないものです。私が見る限り、答え方に不安感というものがなく、真実を淡々と述べているように見えました。


 またその上で気付いた点は発言の内容に不自然さがないという点です。

通常、真実を曲げてウソを言うとどこかに必ず無理が生じます。それは矛盾という形で現れます。「え、なんでそうなるの?」「何故そんな行動をしたの?」「なんでそう考えたの?」

と一般的な社会常識や経験で考えると辻褄が合わないというか、説明ができない矛盾が生じるものなのです。ところが彼の発言は理路整然としており、話の内容に無理がなく、事の経過が自然の流れにあてはまっているように思いました。

 

 それから彼の話は内容に迫真性があり、詳細で具体的であるということも感じました。実はウソをつく人間は細かい点までは話したがりません。それは何故かというと細かい点までウソを言うと後になって自分がどんなウソをついたのかわからなくなるからです。仮にウソをついた部分を忘れると後々話が不自然になったり、矛盾が生じます。つまりウソは覚えておく必要があるのです。ですから肝心な部分だけウソを言って後は適当に誤魔化したり、記憶がないふりをした方が有利です。詳細を語るということは相手に裏を取られる情報を与えることにもなり、しゃべりすぎない方が当然ながらウソはバレないのです。しかし、彼は場面、場面で自ら詳細を語っていました。

 

 その上、彼は発言したことに関しては新たな証拠を幾つかも提示しています。口利きのFAXや100万円を入金した郵便局の振込伝票などです。質問している議員の方が驚くような事実を次から次へと話し、その証拠については積極的に提示している、これらの状況は過去の証人喚問では見られなかった情景ではないでしょうか。

 

 また特に注目したのは「100万円の寄付金の授受について」です。

 

 彼が昭恵夫人からの100万円の寄付金についてどう説明したかというと

 

・昭恵夫人は講演の控え室として利用していた園長室で、私と対面していただいたとき、同行していたお付きの方に席を外すようにおっしゃった後、私と二人きりの状態で『ひとりにさせてすみません。どうぞ、安倍晋三からです』というふうにおっしゃって、寄付金として封筒に入った100万円をくださった

 

・早々に職員室にいた副園長に『いただきました』と渡し、その日は土曜日だったので、中身を確認し、100万円であるということを確認して金庫に入れた

 

・10万円の講演料を先に用意していたので、100万円をいただく前に用意しており、ご講演が終わってお帰りの時にお渡しした。お菓子の袋に10万円が入っている封筒に『感謝』という銘を入れお持ち帰りいただいた

 

・帰った後に夫人から電話があり「寄付金の件は内緒にしとしてくれ」と言われた

 

・当日は土曜日だったので月曜に郵便局に預けにいった

 

・安倍晋三名で振り込んだが会計士からそれはまずいと言われて訂正した

 

・このことは私たちには大変名誉な話なので鮮明に覚えている

 

などと話しています。

 

 もし100万円の授受がなく、架空の話をでっちあげているとしたら「100万円を寄付金としてもらいました」と事実関係だけを言うのが普通です。その他の細かい点まであえて言う必要があるでしょうか。仮に事実がないと話に必ず矛盾が出てきます。領収書にせよ、郵便局の件にせよ、あえて言う必要がないわけです。裏を取られる事実関係は言わずに曖昧にしたり、記憶にないと逃げた方が得策です。特に封筒を差し出した時の昭恵夫人の発言内容お菓子の袋に10万円が入っている封筒に『感謝』という銘を入れて渡したなどと当時の詳細にも触れている点に真実味があり、話の内容に迫真性があります。

 

 ですから私は特にこの「100万円の寄付金の授受」について彼は真実を述べているのではないか、つまり実際に昭恵夫人から寄付はあったのではないかと思ったのです。

 

 その他、工事契約書の件や口利きをした議員の件など話は色々とあったわけですが、特に工事契約書の点については刑事訴追の可能性から証言を拒否しました。つまり、さすがの彼もここでの発言は偽証罪に問われる可能性があるので、言ってよいことと言ってはいけないこと、記憶にあることと記憶にないこと、を取捨選択して質問に答えていたというわけです。

やぶれかぶれでなんでも適当に話していたというわけではないということです。

 

 一方、当の昭恵夫人は彼の国会での証言に対し、寄付金を渡した事実も講演料を貰った事実もないと否定しています。確かに密室の出来事でもあり、領収書も出していないので証拠がないといえばそれまでです。仮に事実があったとしても、総理も含めて一度否定した以上はうやむやにしたいという意思が働くのはやむを得ないでしょう。

 しかし、昭恵夫人は国会の外で話をしています。一方の籠池理事長は偽証罪に問われる証人喚問で話をしているのです。つまり、双方の発言を平等に扱うのはちょっと違うのではないかと思うのです。発言の重さが違います。ですから本当に真実かどうかを明らかにするためには野党議員が指摘しているように昭恵夫人も同じ土俵に上がり、証人喚問で否定すべきでしょう。それでないと憶測ばかりが先行して正しい判断はできないでしょう。

 

 以上、私の個人的な見解について書きました。私は籠池氏の事はよく知りませんし、彼の人間性も思想もよくわかりません。つまり、国会での証人喚問を見て、私の知識、経験値から純粋にこのような見解を出しました。

 「事実は小説より奇なり」 誰がウソを言っているのか、誰が本当のことを言っているのか、神のみぞ知るのかもしれませんね。