約束のネバーランド10 リターンマッチ  白井カイウ 出水ぽすか | 青子の本棚

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「すぐれた作家は、高いところに小さな窓をもつその世界をわたしたちが覗きみることができるように、物語を書いてくれる。そういう作品は読者が背伸びしつつ中を覗くことを可能にしてくれる椅子のようなものだ。」  藤本和子
  ☆椅子にのぼって世界を覗こう。

 

 

 

 

ノウマを倒したソーニャとサンディだったが、残されたノウスは、慟哭しながらノウマの頭に齧りついた。そして、予定通りルーチェを撃破したナイジェルとジリアンの前に、何故かザックとペペが戦うはずのバイヨン卿が現れる。そんな戦いのなか、レウウィス大公と対峙し、みんなが来るまでの時間稼ぎの足止めをするエマは、「あの日のように、ゲームをしよう」と呼びかける。

 

 

 

 

派手な戦闘ドンッ場面の続きから始まる10巻目です。

四組に分かれての戦いが入り乱れ、それぞれのシーンを把握するのが結構しんどくて苦手。

まぁ、同時進行してるわけだから、仕方がないんだけどね。

なので、1ページを使っての各対戦が描かれた簡易地図が、位置関係も把握できて、とっても有難いです。

 

 

しかし、鬼との戦闘は、子どもたちの計画通りに運ぶはずもなく、微妙に齟齬が重なって、最終的に集結するはずのレウウィスの前には、誰も現れません。

 

 

エマがレウウィスに持ち掛けたゲームとは、13年前ルーカスがレウウィスから提案された”フェアな狩り”そのままで、人間と鬼の力の差を考慮し最初の10分間、鬼は人間を攻撃しないというものでした。

その時、鬼の殺し方も教えてもらったみたい。

なるほど、だから、みんな知ってるのね。

 

しかし、この計画の意図するところは、レウウィスには全てお見通しで、戦ってる仲間たちも死んではいないものの、重傷を負って戦線復帰は難しそう。

 

 

誰も現れない”最悪の状況”のなか、オジサンがつぶやいていた「自分の理想が判断が仲間を殺す」という言葉がエマの頭にうかび、思わず口をついてでたのは、

 

 

殺す以外に ないのかな?

戦わない道は ないのかな

 

まさに、エマだ。

 

しかし、レウウィスの答えは、即答で「ない!」

わぉ、取り付く島もありません。ネガティブ

 

 

君の理想は 美しい

でも世界は それだけでは できていない

 

価値も 美醜も さまざまだ

 

 

解り合おうなどと考えるな、争うしかない。

と続けるレウウィスの言葉は、まるで、現在地球地球上で起きているさまざまな争いごとを示唆してるかのようです。

 

それだけに、”戦う”以外で、みんな納得する方法、あると思いたいのだけれど。。。

なんだかなぁ。

 

 

そして、絶体絶命のラストには、やっと合流したレイとオジサンが登場して、 お約束の to be continued です。

 

 

 

 

 

 

 

【おまけ】

 

◆寿命にまつわる独り言

1000年前の”約束”の場にいたバイヨン卿。

ってことは、1000年以上生きてるってことだよね。驚き

 

殺されるまで死なへんのかなぁ。

だとしたら、鬼の数って増えるばっかりやん。

食料危機やん。

それで、人間を家畜化?

 

でも、人間って、鬼にとって生命維持に絶対必要ちゃうやろ。

確か、ムジカは宗教上の理由で食べないっていってたもん。

500年前に、瓶詰のは味がしないとバイヨン卿が言ってるシーンは、現代の養殖より天然志向にも重なって、わかるようなわからんような……。

 

その前に、鬼も赤ちゃんって生まれるんかなぁ。

そういえば、9巻でルーチェが「ボクのパパが……」って言ってたなぁ。

パパって誰やねん、バイヨン卿か???

 

◆西の果ての試験農園

この巻から「登場人物紹介」で、ノーマン「22194」のバツレッドバッテンが消えました。

前巻で、生きてるの判ったからね。

 

そして、風車の門番?アダム(試験農園出身)が、なんかやらかしそう。