惑星ジゴバの地下酒場で、一匹狼の海賊:ケリーは、男顔負けの女丈夫:ジャスミンに声をかけられた。仕事の依頼だと差し出されたのは、『婚姻届』。彼女は、半年前に亡くなったエネルギーと情報を支配する巨大財閥の創設者:マックス・クーアの一人娘、ジャスミン・ミリディアナ・ジェム・クーアだった。法的効力はないものの、父:マックスは、ある遺言を残していた。それは、ジャスミンが三十歳になっても独身なら、財閥の運営権は重役会に移譲されるというものだった。そのため、二十九歳になる十日前に、ケリーに声をかけたというわけだ。俺の流儀に合わないと断ったケリーに、ジャスミンは一つの提案をした。それは……。
第一回センス・オブ・ジェンダー賞受賞作品。
ずっと気になってたけど、文庫本6冊にビビってました。
今回、図書館予約本の到着の隙間に借りてみました。
1巻目は、イントロダクションという感じかな。
今のところハマるほどではなかったので、この先、予約本待ちの時間に読んでいこうかなと思っています。
こりゃ、登場人物はじめ、いろいろと忘れそうやな。
不世出の天才科学者もしくは山師の亡きマックス・クーアが発見したワープポイント《門(ゲート)》にプラットフォームを整備しできた《駅(ステーション)》を利用し、物流と情報の流れを掌握し、超巨大企業に成長したクーア財閥の利権をめぐって、令嬢であるジャスミンと七人の重役たちが戦うスペースオペラです。
この巻に登場した重役は、白髪で目つきの鋭い小男:ジャック・シモンズと恰幅がよく愛想のよい男:パトリック・サンダースの二人ですが、今のところ目立った動きなしです。
そもそも独身なら会社を継がせないという父親が、まず「ジェンダー」に引っかかるよね。
しかし、このジャスミン、令嬢と言えども楚々としたたおやかなお嬢様ではなく、男と対等に張り合える体力・気力・頭脳を持ち合わせた財閥の総帥です。
身長百九十一センチとデカい。
でも、ナイスボディに赤い髪、高ビーな物言いや態度は、ペリー・ローダンの妻:トーラを連想させます。
そんな彼女がパートナーに選んだのが、一匹狼の海賊王:ケリー。
こちらも百九十六センチの長身のイケメンで、前髪で隠した右眼が義眼。
三十を超える国家から有罪宣告を受けながら、国際手配から逃れ続けている身。
しかも、配下を持たずたった一人で宇宙船乗り回してます。
その宇宙船を操っているのが、彼の右眼と同調している『感応頭脳』:ダイアナ・イレヴンス。
そして、このダイアナも普通じゃない。
人間の命令を必要とせず自分の意志で動き、おまけに他の人口脳に干渉可能。
彼女いわく、みんな彼女の魅力に参ってしまうそうです。
しかし、それは人間から見ると、危なくてしょうがない。
なので、”クレイジー・ダイアン”。
ちなみに「イレヴンス」は、試作品だった彼女の製造番号『DS・N11(ダイアナ・シリーズ・ナンバーイレヴン)』から採られています。
しかし、キング・オブ・パイレーツとダイアナ・イレヴンスは、ジャスミンから逃げ切ることができず、結局、ケリーは婚姻届と離婚届にサインし、整形手術を受けることに。
医者いわく、わざわざいじるのがもったいないような完璧な顔のケリーは、かくしてたいへんな二枚目だったのが、ちょっと崩れた二枚目半くらいになり、ジャスミンが雇った七人の女性スタイリストたちにより、クーア財閥副総帥にふさわしい外見に整えられていきます。
そして、ジャスミン二十九歳の誕生日には、アドミラル(マックス・クーアの出身惑星)の中央政府都市での結婚&記者会見に臨みます。
その後、ダイアナも艤装を終え《パラス・アテナ》と船名を変え同行し、二人は新婚旅行という名目で、連邦で開かれる極秘会議に出席するのですが、そこで、ガイアと名乗る若い女性の姿をしたエイリアンが、人類との交流を拒否するのを目にします。
派手に物語が動きだすのは、彼らがホテルに帰ってからです。
ジャスミンがテロリストと誤解されるように仕組まれ攻撃を受け、ケリーと共に戦うのですが、護衛としてつけられていたグレアム中尉(f)らが、軍隊時代のジャスミンの元部下で、おまけにジャスミンファンときて……。
おー、こういうとこも「ジェンダー」だなぁ。
あはは、なんかすごい展開でした。
戦闘場面は、スター・ウォーズっぽかったし。
ジャスミンが、とにかくハンサムウーマン。
男前すぎ。
まぁ、ケリーもイケメンなんだけどね。
なるほど、”センス・オブ・ジェンダー受賞”に再び納得。
それにしても、人外知的生命体にヤキモキしながら、内部で足の引っ張り合いしてれば世話ないよな。
そして、残念ながら、相変わらずの人類の持つ愚かさは、定石なんだよね。
もし今ここに人類より遥かに強い存在が現れたら? 我々の力ではどうあがいても勝てない、彼らがその気になったら星系の一つや二つ簡単に消滅させられる、それだけの能力を持った存在が目の前に立ちふさがったら? 彼らが一応は友好的で、人類とは深く関わらないことを望んでいるとしても、人類なんかを相手にするだけばかばかしいと思っているとしても、人間は『攻撃されるかもしれない症候群』に侵されきっている生き物だ。決して勝てないということは生殺与奪権を握られたに等しいと判断する。圧倒的な勝者に対して手も足も出せない、まさに生殺しだぞ。普通の人間が……いや、普通のじゃないな、なまじ権力を握ることに慣れ、頂点と呼ばれることに何の疑問も抱かないほど慣れきった人間がそんな状態に耐えられると思うか?