スタイルズ荘の怪事件  アガサ・クリスティー | 青子の本棚

青子の本棚

「すぐれた作家は、高いところに小さな窓をもつその世界をわたしたちが覗きみることができるように、物語を書いてくれる。そういう作品は読者が背伸びしつつ中を覗くことを可能にしてくれる椅子のようなものだ。」  藤本和子
  ☆椅子にのぼって世界を覗こう。

 

 

 

 

負傷兵として本国に送還され、一ヵ月の疾病休暇を与えられたわたし:ヘイスティングズは、何年かぶりでジョン・カヴェンディッシュに出会い、旧知のよしみで彼が継母:エミリー・イングルソープと住むスタイルズ荘で過ごすことになった。今はスタイルズ荘の女主人となったエミリーは、もう七十はこえているはずだが、二十歳以上も年下の男:アルフレッドと再婚していた。彼はエミリーの雑用係兼話し相手兼友人のエヴリン・ハワードのまたいとこと称していたが、彼女とは犬猿の仲のようだった。わたしが到着してまもなく、「あの悪魔に気をつけて!」という言葉を残しミス・ハワードはスタイルズ荘を出て行った。その後、エミリーは毒殺され、わたしは偶然再会したベルギーから亡命してきていた元刑事の友人:エルキュール・ポアロに、その殺人事件の調査を依頼した。

 

 

 

 

灰色の脳細胞を持つエルキュール・ポワロが初登場したこの作品が、デビュー作だったとは知りませんでした。

 

 

 

スタイルズ荘には、お金札束が欲しそうな人たちが、わんさか同居しています。

でもって、ちょっとずつ、みんなアヤシく見えます。

 

 

まず、エミリーの再婚相手であるアルフレッド・イングルソープ。

エミリーより二十歳も年下で、彼女が亡くなれば、当然その遺産は夫であるアルフレッドに。

 

 

そして、義理の息子:ジョン・カヴェンディッシュは、お金に困っているようで、それ以前に父の遺産の分配に不満を持っています。

その妻:メアリとの仲は、あまりよろしくないようだし、ご近所に住む美人:ミセス・レイクスに惹かれてる?

 

また、ジョンの弟:ローレンス・カヴェンディッシュは、文学好きが高じて凝った装丁の詩集の出版で、有り金残らず使い果たしているようです。

エミリーの旧友の娘:シンシア・マードックは薬剤師で調剤室で働いています。

ドクロの調達が可能ですね。

 

 

同居はしてないけど、村に静養にきているロンドンの専門医:バウアスタイン博士は毒物学の世界的権威で、メアリと仲良しなのも気にかかるでしょ。

 

 

そんな彼らに交じったヘイスティングズは、たびたび怪しげな行動を目にしたり、噂を耳にしたり。

彼、ホームズで例えるとワトソン役なんだけど、イマイチ有能とはいいがたく……。

どっちかというとポンコツ?爆笑

まぁ、この役どころは定石なんでしょうが、やはりデビュー作、若いというか、まだ手馴れてないというか、うーん、もうちょっと驚かせてほしかったかなぁ。

 

とは言え、ポアロの解説後、ちょこっと再読してみたのですが、冒頭から伏線がこれでもかというほど、びっしり張られていて、やはり栴檀は双葉より芳しでした。

 

 

個人的には、各人が登場するたびに、敬称がつくフルネームだったり、愛称だったりと統一されてないのが、すごく読みにくかったです。

名前覚えるの苦手やねん。泣くうさぎ

 

 

 

真犯人については、まったく思いつかなく汗うさぎて、ふう~んて感じでした。

しかし、ロマンス部分の結末が、一人を除いてハッピイエンドラブラブなのがほほえましかったです。

ヘイスティングズ、こちらもポンコツやん。笑ううさぎ笑

 

 

 

 

一組の男女の幸福ほど大切なものはこの世にはありません