理論物理学者である父:葉哲泰は、文化大革命により葉文潔の目の前で粛清されたが、機を見ることに敏な物理学者の母:紹琳は、夫を糾弾し粛清を逃れた。二年後、内モンゴルの生産建設兵団に配属された文潔は、取材にやってきた記者:白沐霖が持っていたレーチェル・カーソンの『沈黙の春』を借り、手紙の代筆をしたことが仇となり濡れ衣を着せられて、反革命罪を問われ拘束された。そこで、紅衛兵となり武力闘争で非業の死を遂げた妹:葉文雪が書いたという父親の交友関係と会話についての告発文にサインを求められる。しかし、文面から文雪のものでないと判断した文潔は署名を拒否。国防科学研究の基地:紅岸基地へと移送される。輸送ヘリの中で政治委員:雷志成と共に文潔の前に現れたのは、父の元教え子で、今では紅岸基地の最高技術責任者となった楊衛寧だった。文潔の運命は、再会した彼から最高機密レベルの研究プロジェクトへの参加の打診を受け変わっていく。
いきなりの文革シーンに、これ大丈夫なの?と心配になったけど、大森望氏の「訳者あとがき」によると、中国語版初刊本では、冒頭のこの文革シーンの章が後ろの方に変わっていたり、<政治的メタファ―や体制批判と読みとることも可能だが、著者いわく……><小説を利用して現実社会を批判するつもりはない>との言葉もあり、とりあえずセーフ
のようです。
この後、文潔が紅岸基地で、四光年先のケンタウルス座アルファ星系の方向から発せられた地球外知的生命体(三体人)からの「応答するな!」メッセージを受けながら、SOSメッセージを返す動機に関わってくるので、ここは重要。
ではあるんだけど、「侵略されるぞ」とか「征服されるぞ」ってメッセージにあえて「やってくれ」と返信する、それほどの憎悪を持てるんかな?
地球を、全人類を、売るかぁ?
家族がひどいことされて、もうどうでもいいと思ったんやろなぁ。
そして、四十数年後、毛髪の百分の一のワイヤで車を真っ二つにできるというナノマテリアルを開発中の汪淼は、ある会議に招かれ、国際学術組織:<科学フロンティア>の内偵を依頼されます。
物理化学者たちの自殺が相次ぎ、そのほとんどが<科学フロンティア>となんらかの関係をもっていることから、汪淼は、警察官:史強のアシストを受けながら、<科学フロンティア>の会員で物理学者の申玉菲に接触し、『三体』というVRゲームを体験することになります。
そして、ある日を境に、何故か汪淼だけに”ゴースト・カウントダウン”が見え、申玉菲から研究を止めるよう促されます。
この”ゴースト・カウントダウン”、なんで見えるのかワケワカランけど怖い。
なにこれ?
ときどき、カウントの記述が現れるのですが、後にカウントが止まったのか、もしくは”0”になったのかは言及されていないようで、私見落としたのかな?
「さあねえ」って言われそう。
汪淼が”コペルニクス”という名でログインするVRゲームで、三体世界(太陽が三つある惑星)を体験することになるのですが、「三体問題」なんてのが実際にあるとは知らなかった私は、それだけで、もうあたふた。
加えて、ゲームの問題解決できずに文明は崩壊しているにもかかわらず、なぜに次回のログインでは、次の段階に進んでいるのかも理解できないし、そのゲームの中で行われていること自体、ワカランという体たらくです。
もちろん、テキトーにスルーします。
ムツカシイのただ一言です。
後に『三体』ゲームは、地球三体協会の一派である「救済派」が作ったソフトウェアで、プレイヤーの思考傾向をテストし、同志に迎えるかどうかを判断するのに使われていることが判明します。
それは、三体世界の歴史に基づいて作られたものでもあり、総司令官が、なんとあの人でした。
私は確実に失格ですね。
ハイ、”同志”とは呼んでもらえませんね。
まぁ、呼ばれたくもないけど。
でも、ゲームに登場するのが、中国の歴史上の人物(周の文王とか始皇帝だとか孔子や墨子……)だったり、超有名な哲学者や科学者の名前(アリストテレスにガリレオにニュートンにアインシュタイン……)だったりで、そこは、なかなか楽しいです。
始皇帝の前で、ノイマンとニュートンが、巻物を広げる場面で、暗殺者の逸話を思い出し緊張する王淼と一緒にドキドキしたりして。。。
これは、荊軻のことだよね。
兵士を使って人海戦術での人間コンピュータにも驚いたけど、私の萌えは、こっちの方やな。
地球三体協会には、「降臨派」という派閥があり、人類の本性に徹底的に絶望しており、三体文明に人類文明を矯正してもらいたいと考えています。
環境汚染や戦争などを引き起こした人類文明に、憎しみさえ懐いているのですが、その代表が、石油企業CEOの御曹司:マイク・エヴァンスです。
文明はやっぱり、いままでと同じように、地球上の人類以外の生命を滅ぼしつづけるだろう。四十五億ドルで航空母艦一隻ぐらいは建造できるだろうが、千隻の空母があっても、人類の狂気を止めることはできない
いやいや、そんなお金があったら、他にできることあるやろ
諦めるなよ
やけど。
あんたも、文潔と一緒かい。
そんな彼が造ったのが、石油タンカーを改造し、巨大なパラボラアンテナを持つ第二紅岸基地こと<審判の日(ジャッジメント・デイ)>です。
そこには、三体世界から受診したデータが保管されています。
いくら巨大とは言え、パラボラアンテナ一つで、受信できるもんかね。
まぁ、この物語の世界では、”科学は殺されてる”そうですので、気になるけど気にしな~い。
そして、そのデータを奪取するため、パナマ運河で<ジャッジメント・デイ>をナノマテリアルで切断するエンタメ風展開も、やっぱりドキドキもんです。
SFなのにサイエンス以外のところで楽しんでました。
だって理系ちゃうから、ムツカシイねんもん。
肝心の三体人ですが、『幼年期の終わり』のオーバーロードのイメージで期待してたんですが、やはり最後まで姿形は明かされないままというのは同じですが、――劣悪な乱紀には脱水して冬眠し、気候が穏やかで過ごしやすい恒紀に脱水状態から再水化(≒蘇生)ってことでクマムシを連想して、実はめっちゃ小さいのでは?なんて妄想もしましたよ――オーバーロードやオーバーマインドには遠く及ばず、なんか思考は人類とあんまり変わらへんみたい。
地球を移住先にと狙ってるところはデスラー総統(古っ!)を連想するし、「応答するな」のメッセージを内緒で寄越した1379号監視ステーションの監視員なんて、三体世界のヒエラルキーの下層に位置し、文学も芸術も娯楽もない単調で枯渇した精神生活に倦んで、希望さえ持っていません。
宣戦布告ともとれる元首のラストメッセージは、喧嘩した子どもの捨て台詞やん。
とても知性あるものの言動にはみえへん。
どっかの国を連想して、わかりやすいけど。
とはいえ、突然”十一次元”なんて出てくると、わからへん。
この落差はなんなん。。。
翻弄されます。
思うに、四百五十年後に起こるであろう最終戦争以前に、人間たちが起こす戦争や、環境破壊
や、人間を含めた生物の絶滅
など、問題は山積です。
まずは、こっちをなんとかせんとあかんのでは。。。
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「これ以上のことを聞いたら、ほんとうに眠れなくなりますよ。終わりにしましょう。心配したところで、どうしようもないんだから。魏成や史強のように、達観することを学ぶべきだ。さあ、飲みにいきましょう。飲んで帰れば、虫みたいにぐっすり眠れますよ」
【おまけ】
◆昆虫の睡眠 ![zzz](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/105.png)
虫は眠るのか気になったので、ググってみました。
答えは、眠るそうです。
ぐっすりかどうかは、わからんけど。
ただ、瞼がないため、目をあけたまま寝るみたいです。
静かに動かないときは、眠っているそうです。
なんでも、便利に調べられる世の中に感謝です。