BOOKMARK 翻訳者による海外文学ブックガイド2  編者/金原瑞人 三辺律子 | 青子の本棚

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「すぐれた作家は、高いところに小さな窓をもつその世界をわたしたちが覗きみることができるように、物語を書いてくれる。そういう作品は読者が背伸びしつつ中を覗くことを可能にしてくれる椅子のようなものだ。」  藤本和子
  ☆椅子にのぼって世界を覗こう。

 

 

 

 

海外文学の紹介冊子:BOOKMARKをまとめ、書籍化したものです。

毎回テーマを決めて、15~16冊の翻訳本が翻訳者によって紹介されています。

 

若い人を対象としているのですが、読みたい本がありすぎよだれて付箋だらけになってしまいました。

さっそく図書館のネットサービスに付随している本棚に収納しました。

折に触れて、ちょこちょこ読んでいきたいと思います。

 

 

 

 

なかでも、ロシアのウクライナ侵攻に誘発され特別号として発行された「Books and Wars 戦争を考える」と題された「緊急特集号」は、一読に値すると思います。

こちらは、紹介本を翻訳本に限らず、それに関連して綴られた戦争に関するエッセイに選者それぞれの思いが綴られていて、胸が熱くなります。

 

 

ハートお気に入りは、太宰治の『苦悩の年鑑』・『十五年間』を紹介した町田康のエッセイです。

どちらの短編にも、自らの思想・作品をたどりながら、垣間見える戦中・戦後にころころと思想を変える俗物、偽善者のあほらしさを指摘しています。

 

ラスト5行下矢印が、らしくて好き笑やなぁ。

 

 

 

    

本 このとき太宰の声は小さかった。同じ時、大きな声を出していい気持ちになっている者がいた。そしてその者はどの時代にもおり、それがあほらしいのである。「戦争がすんだら急に、東条の悪口を言い、戦争責任云々と騒ぎまわるような便乗主義を発揮する」クズ野郎をどつき回したいもんじゃのう。暴力反対。「話し合いで解決しろ!」「無理っ」

ドクロ汗

 

 

 

 

『苦悩の年鑑』・『十五年間』は、青空文庫で読めます。下差し

 

 

 

 

 

 

それから、森絵都さんの「文体は奪えない」という一文にも、作家の矜持を見て取ることができ、ブルガーコフの「原稿は燃えない」を連想して痺れます。ラブラブ

 

 

 

    

本 もしも再び有事の世となれば、誰かが私から大事なテーマを奪っていくかもしれない。彼らにとって不都合な言葉を奪っていくかもしれない。しかし、文体は奪えない。文体とは、すなわち、生きる姿勢である。

鉛筆 

 

 

 

 

 

 

【おまけ】

 

『BOOKMARK1』も借りようかなと思ったんですが、以下のサイトから、ダウンロードできるようです。

興味ある方はどうぞ。