心のケアは禅タロット、
身体のケアはアロマで癒す
緩和アロマセラピストの松浦智恵美です
風薫り、緑が一番似合う季節ですね
阿佐ヶ谷中通りの
けやき並木に、時の流れを感じます。
先日、めちゃ久しぶりに珈琲館に行きました。
（場所は阿佐ヶ谷じゃないけど）
珈琲館は、いろいろ思い出深くて懐かしい。
４０歳代の頃、
珈琲館で７年間バイトしてましてね、
（今からかれこれ20年前！）
接客の仕方や珈琲メニューも、
ほとんど昔と変わらなくて妙に懐かしい。
珈琲館の珈琲には、
或る、忘れられない想い出があります。
それは、
緩和ケア病棟に入院されてまもない
ある男性患者さんに、
珈琲館の珈琲豆を使って、
紙フィルターでたててお出したことです。
私が、ボランティア活動に入って
半年くらいが経った頃だったと思う。
ある日、午後のラウンジに、
奥様と車椅子のご主人が来られました。
「何かお飲み物はいかがですか？」
「飲み物ねぇ...」
「お茶以外に、紅茶や珈琲もありますよ」
「そういえば、あなた、
元気な時は、コーヒーが好きで
毎日飲んでいたわよねぇ...」と奥様。
「あなた、飲めるかしら、
とりあえず頂いてみる？」
「そうだなぁ」というご主人。
私自身、珈琲館の珈琲の味が
大好きだったので、
絶対喜んでもらえると思いました。
「残しても全然構いませんから
香りだけでも楽しんでみてください」
と言って、お出しすると...
ゆっくりと
一口、一口飲まれ、
なんと、
全部飲まれたのです
それにはご本人も奥様もビックリ
「あなた、良かったわね、良かったわね、
1年以上、全く珈琲飲めなかったものね。
まさか、またこうして飲める日が
来るなんて、思いもよらなかったわね」
珈琲だけは本当に好きで、毎日飲んでいたのに
癌の副作用で飲めなくなった。
もう飲むことはないだろうと諦めてたのだと、
話してくださった。
お二人の嬉しそうなご様子を見て
あの時、珈琲をお勧めして本当に良かった...
と心から思いました。
というのも、
余命いくばくもない時期の
末期がんの容態というのは、
今日が調子良くても、
明日はどうなるか、本当に
分からないのです。
今日、美味しく珈琲を飲めたとしても
明日も飲めるとは限らない。
あの珈琲の一杯は、
あの時にしか味わえないものなんですよね。
美味しく飲んでくださって、
ご主人嬉しかったでしょうけど、
私もすごく嬉しかった。
奥様にとっても、
ご主人の喜びの表情を
その時期に見ることができ、
かけがえのない想い出に
なったかもしれない。
あの珈琲は、
一期一会の味だったと思うのです。
香りの想い出は、快の記憶と結びつく。
（注）初めての病棟ボランティア受け入れ
だったこともあり当時はまだ、
物品の寄付が明確でなかった為、
珈琲豆を持って行く、ということをしていましたが
その後程なくして、緩和ケア病棟側で
用意されるようになりました。
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