第1話はこちら↓
それにしても、私を助けてくれたこの男は、なんなんだろう。銀の髪に白い肌、細いけど筋肉質の体は、まるで朝霧の中を疾走する白馬のようだ。
この男に背中から抱かれながら一晩⁈
意識してしまって、なんだか目のやり場に困ってしまう。
「ふ、服、着ないの?」
「服?今、お前が着てる」
褐色のこの着物のこと?
これは最初に起きた時、私の体に掛かっていた着物だ。あの時、下着の上から羽織ったまま、今に至る。
「い、1枚しか持ってないってわけじゃないでしょう?」
「1枚しか持ってない」
「い、1枚しかないの?汚れたり破れたりしたら」
「そうなったら考える」
「そうなったらって…」
ああ、この人は服に無頓着なんだ。いつも同じ服ばかり着ていたサトシに似ている。思い出したら、可笑しくて吹き出してしまった。
「お前だって、あのネズミだらけの変な服しか持ってないじゃないか」
男は、部屋の隅に置かれた私の部屋着を指差して言った。
「ネズミかわいいじゃない。というか私、服は50枚、いや100枚ぐらいはありますから」
「はっ?100枚?アホか」
「いや、ステテコ1枚で何日も過ごす方が…って、ふふふ」
くだらないことで言い合っているのがさらに可笑しくて、私はケタケタ笑い転げた。
「そんなに可笑しいか?」
「なんか久しぶりに楽しくて。笑ったらスッキリした。ありがとう…えっと、あなたの名前…なんて呼べばいい?」
つづく