個室の収納扉を「折戸」→「カーテン」にするのはどうかしら?という話。
間取り相談のお客さま宅で、間取り的に少し「空間を有効に使った方がよくない?」と感じた方に、この提案をしている。
前回の記事に引き続き、間取り相談OBのMさんちを事例に説明しようと思う。
あなたが「折戸設置」にこだわらないなら、「カーテンにする手もあるけど、どうかな?」という話なので…
折戸(もしくは、その他扉類)必須!と思っている人や、ゆったり広々なケースには全く響かないかも?な内容となっております
もれなく提案されがちな折戸
図面に「クローゼット」があったら、その部屋の利用状況にかかわらず、大半の提案図面では「折戸」は当たり前のようにセットされている。
こんな感じで↓
Ykkap クローゼット折戸
もれなくセットされているので「収納と折戸はペア」なのだ…と、深く考えず、つい当たり前なことと受け入れがちだけど…
この部分に対し、「重箱の隅をつつきがちな坂口」と、ちょっと深掘りしてみませんか?という話ね。
・・・・・
今までの生活の中で、折戸のデメリットを感じたことありますか?
ある!って人はピンとくると思うけど、
ない!って人は、デメリットなんてあるの?という感じかも。
逆にメリットは、閉めた状態がスッキリ!全開すると収納全体を一望できること!だと私は思っている。
折戸のデメリット
先ほど折戸モデルとして貼ったこの画像↓
↑これは建材メーカーのカタログの抜粋なんだけど、実際に暮らしたとき、こんなにスカスカで使う人は稀よね。
普通、まあまあ荷物が満載になると思うんだよね…↓こんな感じで
無印良品 収納事例
↑そうはいっても、こちらの事例は、かなり整然と美しく納まっているけども。
折戸のデメリットは何か?
それは…
開いた折戸がジャマ
という部分じゃないか?と。
- 扉の開閉のため、近くに物が置けない。(有効な空間利用がしづらい)
- 開けた折戸に厚みがあり、引出収納を側壁にくっつけられない。(壁との間に微妙な隙間発生)
という点があるよね。
あと…
そもそも、開閉が面倒くさい…という人もいるかも。(私がまさに…。実家でクローゼットの折戸、いつも開けっぱなしで使ってた)
↑引出を開け閉めするためには、少し壁から離す必要があるよね。
折戸の存在を数値で検証
ジャマって言うけど、具体的にどのくらいジャマなのか?
数値で知りたい人もおられると思い、マニアックかもしれないけど調べてみた。
これらの数値はすべて建材メーカーのカタログを見るとわかる。
今回は一例としてYkkap製品の折戸で調べてみた。
まず、クローゼットから室内側にどのくらい扉が飛び出るか?だけど…
クローゼットの横巾によって扉の大きさもマチマチだけど、押入くらいの一般的サイズの場合、飛び出る寸法は32~33cmくらいかと。
次に、折戸を開いたとき、どのくらい厚みになるか?は…
これもクローゼットの横巾によって変わるけど、同じく一般的な押入サイズの折戸1セット側で大体14㎝くらい。
有効開口は、ざっくりで1.4mくらいかと。
カーテンにすると、有効開口は1.4m→1.67mくらいに広がると思う!
その差27㎝!
つまり、正面からそのまま使える有効巾が27㎝広い!という意味。
「手前に飛び出る」「厚みがある」というデメリットを回避する作戦として…カーテンにするのはどう?ってことね。
Mさんちの収納
前置きが長かったけど…
Mさんちの収納に話を戻すと…
Mさんちには、個室収納が4カ所ある。
夫の母、夫、妻、夫の妹…の4室内にそれぞれの個室内の収納。
そのうちの一つ、お母さんの部屋をモデルに説明すると…
これ、当初の原案↓
原案に扉の表現がないけど、Mさんはここに折戸を設ける予定だった。
収納内部には、ハンガーパイプ付き枕棚。(点線はパイプの位置)
お母さんの荷物は、ほぼ全部この部屋に置くのに、浅めの収納で大丈夫かな?
と、私には見えた。
仏壇置場は1マス分の奥行きがあるけど、クローゼット部分は浅い。
折戸を設けるのなら、「開く折戸の部分」と「ベッド」との空間に配慮して広くした方がいいのかもしれないけど…。
聞くと、ある程度は断捨離するつもりだけど、モノは沢山おありのよう。
特に洋服が多いとのことだった。
ふむふむ、なるほど…。
収納力アップ&使い勝手重視のカーテン収納
仕舞いたい洋服が多い…
であるなら…
仏壇置場と同じ1マス分、つまり「一般的な押入と同じ奥行き」のクローゼットにしてはどう?と↓こんな提案をした。
★
❶当初のハンガーパイプ
❷2列目のハンガーパイプ
❸折戸→カーテン
❷を追加した2列パイプだけど、この奥行きで2列にする場合、肩の部分は重なる前提。
出し入れしやすいようにパイプの高さは10㎝くらい手前を上げるとよいかと。
ざっくりなイメージは↓こんな感じね。
枕棚のモノの出し入れも考慮しつつ、パイプの位置や高さを決めてね!
実際に完成したカーテンクローゼット
提案を気に入ってくださったMさんファミリーは、4人共すべて個室収納を「折戸」→「カーテン」にされた。
お母さんの部屋のカーテン収納↓
↑閉じた状態
↓開けた状態
カーテン柄は、お母さんが選び、とてもお気に入りなんだって
天井付けのレールのアップ↓
ちなみにM夫さんの部屋(寝室内の書斎コーナー横)は↓こんな感じに。
どう?カーテンだと、隅までキッチリ活用できて無駄がないと思いません?
基本的に自分だけの空間なので、誰に遠慮することなく、自分が「アリ!」と思えばアリかと!
・・・・・
時々「リビング収納もカーテンがいい!」とおっしゃる方もいるんだけど、リビング空間は、収納するモノや来客目線を考慮してなお「アリ!」という場合ならアリかも…。
あと、カーテンすら要らない!とおっしゃる方もいるけど、ホコリ避けでカーテンはあった方がいいかも…。
さらに、ロールスクリーンはどう?とおっしゃる方もいるけど、ロールスクリーンにすると開け閉めが面倒くさくなって結局開けっ放しになる可能性大なんじゃない?と思うけど、どうかな。
カーテンのデメリットは?
カーテンを提案したとき、よく話題になるのは「地震のとき大丈夫なのか?」って話。
当然、折戸よりも手前にモノが散乱する確率は高いと思う。
カーテンを採用するときは、中に何を置くつもりか?が大事よね。
クローゼットなので、大半はハンガーパイプに洋服が掛かっていて、床に引出収納が置いてあり、枕棚の上はあまり使わないモノが置いてある感じかな…と想定。
万が一、落ちてきても危なくなさそうなモノ…という認識ではあるけど…
「カーテンにするなら重量のあるモノはなるべく低いところに置いてね!」とお伝えしている。
また、クローゼットの正面の直下で寝ることはほぼ無いと思うので、落ちてきたものが直撃する可能性は低いとは思う。
折戸があっても枕棚との間に空間があるので、モノは落ちると思う。
…が、室内への飛距離はゼロか、飛び出ても少しだと思う。
その収納の直前で寝たり、過ごすことが多かったり、そこそこ重たいモノを高い位置に置く可能性がある場合は、扉の方がいいかもね。
Mさまファミリーの感想
実際、カーテン収納を利用してみて、使い心地はどうですか?
と、やりとり窓口のM夫さんにご家族を代表してお尋ねしてみた。
俺の部屋って…(笑)
コメントの文章がちょっとなんだか…。
実はM夫さん、私の同級生なのよね~。(中学、高校時代の)
それはさておき…
収納扉を当初計画していた折戸→カーテンにしたことで…楽チンで好評!ってことみたい。
2列パイプの「手前にかけた洋服」が手前に出ても、または少しくらい大きなモノを中に入れても、扉代わりがカーテンなのでフワフワっとするだけで開閉に影響がないのはいいよね!
・・・・・・
あなたの間取りの個室収納が折戸になっているなら、「この扉ホントに必要かな?」と一度立ち止まり、一考してみてはどうでしょうか?
ブログ更新のお知らせもしているので、よかったらフォローしてね!
間取り検討中のあなたへ。よかったら挑戦してみて!
お手元の間取り図がコレでカンタン無料チェックできます!
(↓説明ページに飛びます)