佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。
脳卒中後のリハビリテーションに関して、どんなことを知っておいた方がいいですかと入院患者さんや外来患者さんから質問をいただくことがあります。
ご自分でインターネットで調べたいとのお気持ちをもっていらっしゃる方が多いなと感じています。
ご質問をいただいたとき、絵に描いたりかみ砕いたりしていろいろご説明させていただいています。
今回は、患者さんからご質問があったときに説明させていただいている「脳卒中後のリハビリに大切な基礎知識」について記していきたいと思います。
発症早期からのリハビリテーションの実施
脳卒中発症後、早期のリハビリ開始がすすめられています。
ただし、神経症状が悪化したり、心筋梗塞があったりするなどのリハビリ禁忌事項などがある場合は、リハビリ開始は遅れます。
リハビリを開始する指示は、主治医が行います。
血圧管理や運動強度の管理が必要なので、リハビリ指示が出たときは、必ず主治医とリハビリに関するリスクの指示を仰ぎます。
発症後、早期にリハビリを開始することは、体を使わないことによる筋肉の萎縮などの廃用症候群を予防することが理由のひとつです。
また、早期よりリハビリを開始した群の方が、体幹機能を良好に保ったり、機能的な予後が良好であるなどの報告があります。
ただ、早期にリハビリを行える方は、安定した身体状況であることが多いので、機能的な予後については検討の余地があると思います。
脳のダメージ部位の肩代わり
脳卒中後、直接的にダメージを受けていない脳の部位や神経経路が、機能的な肩代わりをするというメカニズムも大切な知識だと思っています。
有名な肩代わりとして、脳のダメージを受けた神経経路(右の脳がダメージを受けたら左側の身体に対する神経経路が使いにくくなる)と反対側の神経経路が活動して麻痺している手足の動きに関する命令を伝えようとする機能が賦活するというものです。
機能の肩代わりについては、以前にブログに記しています。
半球間抑制
脳卒中後のリハビリに必要な知識として、半球間抑制に関する知識も大切だと思っています。
左右の脳の間では、左右が互いに抑制し合っています。
脳卒中後のは、ダメージを受けた脳がダメージを受けていない側の脳を抑制する力が弱くなります。
また、脳卒中後は麻痺していない側の体を主に使って生活するので、ダメージを受けていない側の脳の活動が亢進します。
脳卒中後は、左右の脳の抑制し合う機能が不均衡になり、半側空間無視や失行症や運動麻痺に関与すると言われています。
半球間抑制についても、以前ブログに記しています。
神経のネットワークの再構築のメカニズム
脳卒中後の神経ネットワークの再構築のメカニズムに関する知識もリハビリを行なっていくには重要です。
脳卒中後、ダメージを受けた脳の部位が、どのように変化していくかという知識です。
脳卒中後の急性期から回復期の時期は、ダメージを受けた部分の周りの腫れが減っていき、機能回復が起こる自然回復の時期です。
その後は、神経の変化(可塑性)を促すために、どのようなメカニズムで脳の神経が変化していくかを考慮して、リハビリ内容を組み立てる視点が大切です。
具体的には、反復練習や目的指向型の訓練、エラーレス学習が脳の可塑性を促すことが報告されています。
脳の神経ネットワークの再構築関係について、過去にブログに記していますので、参考にしていただけると嬉しいです。
麻痺側を使わないことによる不利益
脳卒中後、麻痺手を使える範囲で日常生活で使っていくということは、とても大切です。
麻痺手の日常生活での不使用が続いていくと、麻痺側の手に残っていた機能が弱くなります。
また、麻痺手を頑張って使ってみて失敗すると、負の学習が促されてしまいます。
麻痺手の学習性不使用については、過去に記しているので読んでいただけると幸いです。
最後に
今回は、脳卒中後のリハビリに大切な基礎知識について記しました。
まだまだ記すことができなかった内容がありますので、次回に記したいと思います。
引用・参考
1) 脳卒中治療ガイドライン2009
https://www.jsts.gr.jp/guideline/283_286.pdf
☆*:.。.最後まで読んでいただきありがとうございました.。.:*☆