佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。
3月も下旬にさしかかり、来月4月より入職する新しいリハビリスタッフとの出会いを楽しみにする季節になりました。
この時期は、普段よりさらに私自身も自分の知識を整理したり、新しいリハビリに関する情報がないかチェックしています。
学び直していることはたくさんありますが、力を入れて学び直しているのが「脳の可塑性」です。
このブログでも「脳の可塑性」について過去に取り上げていますが、改めて記していこうと思います。
脳の可塑性とは
脳の神経可塑性とは、脳の神経細胞が新たに神経の経路をつくったり、経路の伝達の効率化を高めたり、使わない経路の伝達効率を下げるなどの一連の変化のことを言います。
その基板となっている考えが、神経の可塑性です。
昔は、赤ちゃんの時期から大人になるまでの発達の時期のみ脳が変化すると考えられていましたが、今では脳は生涯を通じて変化していく臓器であることがわかっています。
この脳の可塑性の考えをもとに、さまざまな科学的な内容を基盤としたリハビリテーションのことを、一般的に「ニューロリハビリテーション」と呼んでいます。
下のYouTubeは、神経の可塑性についてアニメーションとして解説している動画です。
日本語訳は、インターネットで示されていたものを引用しています。
【日本語翻訳】
少し前まで、多くの科学者はこう信じていました。「脳は小児期を過ぎると変化しなくなり、 大人になる頃には固まってしまう」と。
しかし、ついこの10年間の進歩でそれが間違いだとわかりました。
脳は生涯を通じて変化できる、プラスチックのように柔軟なものなのです。
そのため神経科学者はこの性質を「神経可塑性」と呼んでいます。
神経可塑性はどう働くのでしょうか。
脳を動的に接続された送電網とみなすと、そこには思考や感覚、行動のたびに明かりがつく経路が何十億本も走っています。
なかには伝達速度の速いものがあり、それらは習慣、つまり定着した思考、感覚、行動の様式に相当します。
私たちが特定の様式で考えたり、行動したり、感情を感じるたびに、この経路は強化されていきます。
脳の信号がこの経路を通りやすくなるのです。
では別の考え方をする場合、新しいことを学習する場合、別の感情を感じる場合はどうでしょうか。
そのようなときは新しい経路が切り拓かれますが、そこを通り続けていると、脳はその経路をより頻繁に使うようになり、その新しい思考、感情、行動の様式が習慣になっていきます。
古い経路はだんだん使われなくなり、弱まります。
新たな接続を作り古い接続を弱めることで脳の配線を変化させるこのプロセスこそが、神経可塑性の働きなのです。
嬉しいことに、誰もが脳の配線を変化させることで学習したり変化する能力をもっています。
これまでに悪い習慣を修正したり、考え方を変えたことがあるなら、あなたは脳内で新しい経路を切り拓き、神経可塑性を直接体験したのです。
あなたの望む変化に向けて何度も意識を向ければ 脳の配線を変えられるのです。
脳の可塑性の法則は「ヘッブの法則」である
「ヘッブの法則」は、脳の可塑性の法則です。
心理学者のドナルド・ヘッブが提唱しました。
ヘッブの法則は、脳の神経細胞のネットワークに繰り返して情報が伝達される(電気信号)と、神経細胞間の接続部分であるシナプスの強度が増し、伝達効率がアップするという法則です。
この法則をリハビリテーションの考えに置き換えてみると「何回も反復して練習することで動作が上達する」と言えると思います。
正しい運動を繰り返し練習したり、麻痺の手を日常生活で使っていくこと自体が、ヘッブの法則を考慮したリハビリテーションに重要だと思っています。
最後に
今回は、学び直している「脳の可塑性」について改めて記していきました。
どのようなリハビリテーションの考えがよいか、脳の可塑性などをしっかり考慮して、その方にあったリハビリメニューを組み立てて行くことが大切です。
学びを止めずに、毎日少しずつ進んでいきたいと思っています。
引用・参考
1) Plasticity during stroke recovery: from synapse to behaviour
2) 松元 秀次:脳梗塞のリハビリテーション治療.日医大医会誌 2019; 15(4)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/manms/15/4/15_201/_pdf
3) Neuroplasticity
,゚.:。+゚最後まで読んでいただきありがとうございました,゚.:。+゚